研究課題
ディジタル信号処理システムの位相特性は線形位相特性と非線形位相特性に分かれる。もし位相特性が非線形であれば、信号処理における信号処理後、又はディジタル通信における信号伝送後の波形歪が発生し、元の信号波形を忠実に伝送したり、信号波形を維持したまま処理したりすることは不可能である。このような波形歪みの問題を解決するため、位相補償器を設計し、元の非線形位相システムに接続すれば位相補償を行うことができる。本補助事業(3年間)の研究では、全域通過型固定位相補償器と全域通過型可変位相補償器の様々な最適設計法をを開発した。研究の段取りとしては、まず固定位相補償器の様々な設計法を開発し、計算機シミュレーションを通してこれらの設計法の有効性を確かめた。これは固定位相補償器の設計は可変位相補償器の設計の基礎となるためである。次に、固定位相補償器の設計法を可変位相補償器の設計法開発への拡張を試み、可変位相補償器の設計法も開発した。まとめると、この3年間の主な研究成果は以下のようになる。① 全域通過型位相補償器の様々な周波数応答誤差関数を導出し、これらの誤差関数に基づき、線形計画、2次錘計画、回転2次錘計画、非線形数理計画などの最適化法を駆使し、固定位相補償器の様々設計法を開発し、計算機シミュレーションを通してこれらの設計法の位相補償への応用の有効性を確認した。② 開発した固定位相補償器の設計法を可変位相補償器の設計法開発へ拡張し、繰り返しと非繰り返し線形計画法による可変位相補償器の設計法を開発して計算機シミュレーションでこれらの設計法の有効性を実証した。③ 位相補償器に一定の安定余裕を持たせるため、一般化安定三角形の新しい導出法を開発し、一定安定余裕をもつ2次固定位相補償器の最適設計法の定式化を行い、計算機シミュレーションを用いてこれらの設計法の有効性を確認した。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件)
Journal of Circuits, Systems and Computers
巻: 28 ページ: 1950068_1~15
DOI: 10.1142/S0218126619500683
Multidimensional Systems and Signal Processing
巻: 30 ページ: 343~361
DOI: 10.1007/s11045-018-0559-3
巻: 27 ページ: 1850102_1~18
DOI: 10.1142/S0218126618501025