円筒導波管の遮断TM01モードと4分割仕切り板およびリッジを装荷した遮断TE基本モードの区間を相互に周期配列した右手/左手系複合伝送線路について、各区間長と阻止域が存在しないバランス条件を満たす導波路形状の関係を数値計算により示し、漏洩波アンテナとして利用できる導波管形状を明らかにした。その際、両区間長の比が一定であれば、ほぼその伝送特性に変化はなく、同じ媒質として取り扱えることを確かめた。また、等価回路については通常用いられるLC直列共振回路をシリーズに、LC並列共振回路をシャントに配置する構成にリッジ部分を表すキャパシタをシャントに付加すれば、等価回路による導波管の簡易設計が可能なことを明らかにした。これらの特性の妥当性は、実際に10GHz帯で試作した複合伝送線路の伝送特性の測定結果と理論値との一致から、実験的にも検証した。次に漏洩波アンテナの機能を持たせるために、導波管壁にスリット開口を設け、その基本的な放射特性を数値計算により求めた。その結果、周波数を掃引することにより放射ビームの走査がアンテナ軸の後方から前方へと連続的に行えることが明らかとなり、本提案形状が漏洩波アンテナとして充分に機能し得ることを確かめた。さらに、このような遮断TEおよびTMモードの組み合わせによる右手/左手系複合伝送線路の構成を方形導波管に適用した場合についても新たに提案した。その構造は遮断TE基本モード区間にH型隔壁板を用いるものであり、数値計算によりその基本伝送特性を示すとともにバランス条件を満たす導波管形状についての検討を行った。
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