研究課題/領域番号 |
16K06374
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
久保 博嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (40633243)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 移動体通信 / 海洋探索 / 情報通信工学 / 通信方式 / 変復調 / 信号処理 / MIMO伝送方式 / 水中音響通信 |
研究実績の概要 |
本研究では,伝搬路が高速に時間変動し,遅延広がりが大きいダブルセレクティブ伝搬環境が問題となる水中音響通信に関して,通信の高信頼化・大容量化を図る研究を実施する.本研究を実施することにより,一般に公開されていない水中音響通信のダブルセレクティブ伝搬路モデルを策定し通信性能評価を容易化でき,厳しいダブルセレクティブ環境にて従来は困難であった8k~64kbpsの高信頼・大容量伝送を可能とできる.特に,ダブルセレクティブ環境に対応するために,これまでの代表者の研究成果であるマルチキャリア予測形差動時空符号化技術を活用する. 本研究の平成28年度成果は,(1)サイクリック相関を用いたMIMOチャネルサウンド技術の方式提案,(2)市販の音響電子機器を用いたオフラインチャネルサウンダの実機実現,(3)琵琶湖浅瀬伝搬環境測定とチャネルモデル化,を実施したことである. 上記(1)に関しては,変形M系列を用いることでチャネルサウンド時のサイドローブを抑圧したこと,送信アンテナ間に遅延差を与えることでM系列をもとにしたチャネルサウンド技術でMIMOチャネル計測を可能としたこと,が研究成果である.上記(2)に関しては,装置の実環境動作を確認したことが研究成果である.上記(3)に関しては,琵琶湖博物館駐車場横の浅瀬でのチャネル計測を実施したことが研究成果である. なお,上記(1)~(3)の成果にもとづき,査読付き論文が3件採録,国内研究会にて6件発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進捗している.ここで,平成28年度成果予定のチャネルモデル化に関しては,取得データを充実化するため,MIMO環境のデータ取得を平成29年度にも継続して実施する.他方,先行して平成29年度成果予定の高信頼水中音響通信方式の検討にも着手し,平成28年度中に水中音響通信方式評価装置は実験室評価が完了し,マルチキャリア予測差動時空符号化の研究成果発表を実施している.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究成果が順調に出たことを受け,水中音響通信方式に関する方式検討と,琵琶湖浅瀬伝搬環境での実環境評価を実施する. 平成29年度は,平成28年度の成果を生かして,(4)高信頼水中音響通信方式 (8kbps) の検討,(5)オフライン音響評価装置での水中音響通信方式評価系実現,(6)高信頼水中音響通信方式 (8kbps) の琵琶湖実環境評価,を実施する.具体的には,まず平成28年度に取得したチャネルモデルをもとに高信頼水中音響通信方式 (8kbps) の方式検討を実施する.次に,オフライン音響評価装置を実現し,本装置を活用して琵琶湖浅瀬環境にて高信頼水中音響通信方式 (8kbps) の有効性を確認する. 平成30年度は,平成29年度までの研究成果を生かして,(7)大容量水中音響通信方式 (64kbps) の検討,(8)大容量水中音響通信方式 (64kbps) の琵琶湖実環境評価,(9)水中音響通信方式の模擬移動環境評価,を実施する.具体的には,まず平成28年度に取得したチャネルモデルをもとに大容量水中音響通信方式 (64kbps) の方式検討を実施する.次に,平成29年度成果であるオフライン音響評価装置を活用して琵琶湖浅瀬環境にて大容量水中音響通信方式 (64kbps) の有効性を確認する.更に,琵琶湖浅瀬環境にて移動環境を模擬することにより,移動環境下での高信頼水中音響通信方式 (8kbps) と大容量水中音響通信方式 (64kbps) の有効性を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
費用差異は,平成28年度の旅費が想定より少なかったために発生した.その理由は,研究期間の初年度ということもあり,一部の成果発表が平成29年度に繰り越されたためである.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は本研究の2年目となり,成果発表を加速中である.ゆえに,この費用差異は,平成29年度と平成30年度の2年間で吸収する予定である.
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