研究実績の概要 |
本研究では、空気を媒質とする高周波(MHz帯域)超音波による物質内部の画像化を行った。観測対象物は、主としてIC(11229-12 ROCKWELL社)を用いた。このICのサイズは、24×24mm 厚み1.5mmである(本研究の研究成果により、このICの吸収値は約40dBと判明している)。 非接触による分解能の高い超音波画像実現のために、空気中で大きく減衰する超音波エネルギを有効に利用するため、できるだけ音響インピーダンス値の小さい、有機質の圧電材料P(VDF/TrFE)(75/25mol%)を用いて、凹面型P(VDF/TrFE)トランスデューサの開発を行った。この開発したP(VDF/TrFE)トランスデューサは、開口径:20mm,開口角:84度,焦点距離:15mmであり、挿入損失は約67dB(2MHz)であった。 上述で開発した同じ性能のP(VDF/TrFE)トランスデューサ2個を、送信用と受信用(送受信分離型方式)に用いた。IC内部の平面画像化は、X-Yステージをパソコン制御によるステップモータで駆動する方式で行った。 この結果、従来の平面型P(VDF/TrFE)トランスデューサで形成した画像を遥かに上回る画像を形成することが可能となった。具体的には、IC内部にモールドされているIC-chip部・その周辺の大きさ(超音波吸収値の相違から鮮明に確認可能)・4隅のボンディングワイヤー・電極の固定材およびエポキシモールドの状態など、非常に情報量の多い画像を得ることが可能となった。また、透過信号の強弱値を用いて、このICの3次元画像形成を行い、立体画像からIC内部の状態がより観察できるようになった。
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