研究課題
平成29年度までに検討した,TDOA(Time Difference Of Arrival)をベースとしたカルマンフィルタによる位置推定手法について,さらなる精度向上手法の検討を行った.また,その拡張として,円形アレーアンテナを用いた位置推定・方向推定手法,2次元スパースアレーによる拡張アレー信号処理手法,加算・差分アレーによる拡張ビームフォーミング手法について検討を行った.まず,TDOAをベースとした位置推定手法については,カルマンフィルタをベースにした手法にアンテナの選別を組み込むことで,さらなる推定精度の向上が可能となる場合があることを明らかにした.そのうえで,サッカー場を模した環境でシミュレーションを行い,選手が走るスピードを想定した状況下で良好なトラッキングが行えることを確認した.また,円形アレーアンテナにおける拡張アレー処理手法として,Super NSCA(Nested Sparse Circular Array)とその拡張信号処理技術を考案し,方向推定性能を評価した.仮想アンテナ素子を広範囲に考えることが可能であり,広帯域信号への応用,簡易なキャリブレーション手法の構築も可能であることを示した.さらに,他分野への応用も視野に入れて,FMCW-MIMOレーダによる位置推定手法,2次元スパースアレーの構成手法,および1次元スパースアレーによる拡張ビームフォーミング手法の検討を行った.いずれも,高精度推定が可能とされてきたKR(Khatri-Rao)積拡張を応用したものであり,特に近接波源の分離において良好な角度推定性能・分離性能を実現することをを実証した.今後はさらなる推定精度・分離制度の向上を目指したい.
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E102.A ページ: 211~218
DOI: 10.1587/transfun.E102.A.211
巻: E102-A ページ: TBD