画像処理は、認識や計測などの幅広い分野で極めて有用であるが、画像がもつ情報量は膨大であるため、多くの計算コストを必要とする。本研究は、従来は考慮されなかった画像の構成要素である画素の構造に着目し、画素中の受光部の配置を擬似的に不規則とする新型画像センサ(カメラ)の開発と、それに適合する画像処理アルゴリズムの構築を行うことで、少ない画素数と計算コストによって、多画素画像と同等あるいはそれを超える精度での画像処理を実現し、さらに高精度な画像処理を可能とすることを目的とする。 本研究では、このような画素配置を持つCMOSイメージセンサの設計と試作を行い、その特性の評価を行った。その結果、シミュレーションによって示唆されていた高精細化、特にジャギーの低減の効果を確認することができた。また、本手法の高精度画像処理への適用として、超解像処理をとりあげ、その研究に着手した。高解像度画像から低解像度画像との関連を機械学習で学習させ、それをもとに低解像度画像から高解像度画像への超解像処理を行う手順を対象とし、その学習の過程での画素サンプリングを、疑似的不規則画素を仮定し、アルゴリズムの構築を行った。このような画素サンプリングは、本研究で試作した疑似的不規則画素配置を持つCMOSイメージセンサによって実現できるものである。この疑似的不規則サンプリングに基づく超解像アルゴリズムの評価は未達成であり、今後、より詳細な検討とアルゴリズムの改良を進める予定である。
|