研究課題/領域番号 |
16K06400
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研究機関 | 新居浜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
城戸 隆 新居浜工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (70390995)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地中レーダ / ポラリメトリック |
研究実績の概要 |
超広帯域アンテナを有する連続波周波数掃引ポラリメトリック適用型地中レーダは深部にある不発弾の検知に対し、深度検出性能及び分解能の両者の最適化が可能である。本研究では個別の不発弾の検知に対しポラリメトリック手法を適用させて偏波状態、周波数帯域、出力パワーを最適化することで、従来のノン・ポラリメトリック・パルスレーダと比較して圧倒的に上回る不発弾検知性能を実現するレーダを開発することを目的としている。 ポラリメトリックを用いた地中レーダシステムに必要とされる装置であるベクトル計測用のネットワークアナライザを平成29年度の後期に導入が完了した。 電磁界シミュレータ上において、空気/土壌境同一界面に送受信アンテナを設置し、土壌中に金属パイプや金属球を埋設したモデル環境を構築し、送受信アンテナをポラリメトリックの測定系に配置した環境でシミュレーションが行える準備が出来た。 新五角形ボウタイ型広帯域アンテナの試作が完了した。曲線改良したボウタイ型広帯域アンテナに関しては、CAD図面の作製に留まった。 今後、広帯域アンテナを用いそれらをポラリメトリックに対応した配置に設置し、ベクトルネットワークアナライザや制御用パソコンを組合せてポラリメトリックを用いた地中レーダシステムを組上げ、新居浜高専内外の幾つかテストフィールドにて模擬不発弾や金属パイプ等の検出実験を行う。得られた模擬不発弾のポラリメトリック地中レーダデータを用いてレーダ画像の後処理の高度化を図り、検出不発弾の形状認識性能の飛躍的向上を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の装置導入に関しては、ポラリメトリックを用いた地中レーダシステムに必要とされる装置であるベクトル計測用のネットワークアナライザの選定を平成28年度に完了し、平成29年度の後期に導入が完了した。研究開発においては周波数帯域や周波数の下限、上限を任意に選ぶことが出来るシステムが重要であり、パルス型システムにおいては本研究に十分対応出来ない。それに対しベクトルネットワークアナライザを用いたステップ周波数掃引型地中レーダシステムは本研究に適している。ただしポラリメトリの切換えに必要とされる高周波スイッチについては製造メーカの信頼性トラブルにより出荷が遅れ、導入が平成30年度にずれ込んだことから、実際のポラリメトリック測定系を組んでの研究は平成30年度に持越しとなった。 平成29年度では不発弾検出に対応した地中レーダ用送受信アンテナモジュールの最適設計を行う目的で、新居浜高専に導入済みの電磁界シミュレータ上において、空気/土壌境同一界面に送受信アンテナを設置し、土壌中に金属パイプや金属球を埋設したモデル環境を構築し、各種埋設物からの反射が正常に受信できることを確認できた。これにより送受信アンテナをポラリメトリックの測定系に配置した環境でシミュレーションが行える準備が出来た。 すでに従来研究により新五角形及びそれをさらに曲線改良したボウタイ型広帯域アンテナが、従来の正三角形ボウタイ型広帯域アンテナ、ビバルディ広帯域アンテナに比べ、不発弾検出に対応した地中レーダに必要とされる周波数帯においては伝搬振幅特性をより平坦に出来るシミュレーション結果が得られていた。 平成29年度では新五角形ボウタイ型広帯域アンテナの作製を行ったが、曲線改良したボウタイ型広帯域アンテナに関しては、性能の向上の研究も並行して実施したためCAD図面の作製に留まり、アンテナの完成まで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度では金属ロッド、金属シリンダー等の擬似不発弾に対してパラメトリック特性のシミュレーションを行い、実験環境での実験結果と比較を行う予定である。ポラリメトリック測定系に最適な送受信アンテナの配置方法を明らかにする。 また基板加工機を用い曲線改良したボウタイ型広帯域アンテナを完成させ、新五角形及びそれをさらに曲線改良したボウタイ型広帯域アンテナを用いたポラリメトリック地中レーダシステムを実際に試作して性能を検証する予定である。不発弾検出深度と検出分解能の両立、検出不発弾の形状認識性能の飛躍的向上を目指す。新五角形及びそれをさらに曲線改良したボウタイ型広帯域アンテナの伝搬性能をネットワークアナライザを用いて評価する。 評価された広帯域アンテナを用いそれらをポラリメトリックに対応した配置に設置し、ベクトルネットワークアナライザや制御用パソコンを組合せてポラリメトリックを用いた地中レーダシステムを組上げ、新居浜高専内外の幾つかテストフィールドにて模擬不発弾や金属パイプ等の検出実験を行う。ポラリメトリの切換えに必要とされる高周波スイッチは平成30年前半に導入を完了し、得られた模擬不発弾のポラリメトリック地中レーダデータを用いてレーダ画像の後処理の高度化を図り、検出不発弾の形状認識性能の飛躍的向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
ポラリメトリの切換えに必要とされる高周波スイッチについては製造メーカの信頼性トラブルにより出荷が遅れ、導入が平成30年度にずれ込んだことから、実際のポラリメトリックの測定系を組んでの研究は平成30年度に持越しとなった。高周波スイッチは平成30年前半に導入完了予定である。
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