研究課題/領域番号 |
16K06402
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
野里 英明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 工学計測標準研究部門, 主任研究員 (60415726)
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研究分担者 |
益子 岳史 静岡大学, 工学部, 准教授 (70415917)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 三軸加速度計 / レーザ干渉計 / 高周波 / 高衝撃 |
研究実績の概要 |
高衝撃・高周波領域における三軸加速度計の周波数特性を求めるために、三台のヘテロダイン式レーザ干渉計を組み合わせるシステムを製作した。その計測システムでは、三台のレーザ干渉計が測定するワーキングディスタンスはほぼ固定で1つの焦点をモニターするため、三軸加速度計の受感面近傍の入力加速度を高精度に測定することが可能となる。しかしながら、そのためには三台のレーザ干渉計それぞれが十分な信号強度を得る必要があったため、その評価を行った。 また、三台のレーザ干渉計からの干渉信号の他に三軸加速度計からの電圧信号も時間同期して計測する必要があるため、干渉信号用と加速度計信号用のデジタイザ間における時間ズレやレーザ干渉計の時間遅れを調べなければならない。そのため、電気光学変調器(EOM)を用いて、その時間ズレとレーザ干渉計におけるフォトディテクタの時間応答を評価して、それぞれ5マイクロ秒と100ナノ秒の時間遅れがあることがわかった。ただ、その100ナノ秒は電気光学変調器の時間応答も含むため、その検証は今後の課題となる。 本研究では数十Hz以上の高周波計測がひとつの重要ポイントであることから、既存のホモダイン式レーザ干渉計とヘテロダイン式レーザ干渉計を用いて、40 kHzまでの加速度計の感度と位相遅れに関する同等性を評価した。その結果、加速度計の感度については40 kHzまで概ね1%以下の偏差で、位相遅れについて20 mrad以下の偏差であった。この結果は本研究の目標を達成する上で、十分な評価結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高感度ヘテロダイン式レーザ干渉計を用いても、ステンレス棒の端面からはレーザ光の十分な反射強度が得られたが、CFRPの場合、ほとんど反射強度が得られなかった。そのため、ステンレス棒において、反射テープの有無の場合における衝撃計測について比較検討を行った。比較検討は加速度計の衝撃感度(一軸加速度センサのピーク電圧と衝撃加速度のピーク加速度との比)で行ったが、その結果反射テープによる衝撃感度への影響は1 %以下と見積もられた。従って、CFRPの場合において反射テープを使用することは、計測上問題ないことが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCFRPやチタンの棒端面の直径をダウンサイズして、パルス幅を短くし、より高周波・高衝撃にしていく。それと同時に三軸加速度センサの周波数特性を求めるプログラムを作成して、三軸加速度センサの感度と位相遅れを評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
高感度なヘテロダイン式レーザ干渉計を用いて測定を行ったが、ホプキンソン棒のCFRP端面からの反射光が十分でなかった。そのため、様々な形状や材質のホプキンソン棒における測定を始める前に、反射テープの有無による加速度計測の影響について調べた。そのため、当初の予定より、使用額が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、より高周波領域における加速度を発生させるために、さまざまな形状のチタン製およびCFRP製ホプキンソン棒を作成・実測に取り組む。加速度計の大きさを考慮すると、底面の直径は10 mm程度が限界と予想される。
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