本研究の目的は、高衝撃・高周波領域において、三軸加速度センサの感度と位相遅れ、横感度に関する周波数特性の評価技術を確立することである。そのため、高衝撃・高周波領域の加速度を発生させる技術として、当初はCFRP製ホプキンソン棒で高い加速度を得たが直進性が高すぎたため、ステンレス製ホプキンソン棒とチタン製ホプキンソン棒の両方で三軸加速度計測を検討したところ、金属材料の加工が容易なステンレス製ホプキンソン棒で三軸加速度センサの評価を行うことにした。 今年度は三軸加速度センサの感度と位相シフトを評価すべく、測定プログラムの更なる改良を行った。また、実験で得られた衝撃波形は数十マイクロ秒であったため、周波数領域は十分に高周波領域をカバーしており、高周波領域における三軸加速度センサの周波数応答を得ることができた。しかしながら、その妥当性を検証するために、加速度レベルは異なるが振動加速度との整合性について比較したところ、高周波数領域では加振器(ホプキンソン棒および振動加振器)と加速度センサとの接触剛性の問題が明らかになった。接触剛性の問題とは、加速度センサの自重による慣性力によって、加速度計測ポイントと加速度センサ受感面との間に無視できない相対運動が生じるため、測定された周波数応答に偏差が生じることである。 そのため、back-to-backタイプの加速度センサに異なる質量を負荷して、振動加速度で測定した加速度センサの周波数特性に対して、有限要素法とモデル化の両面から接触剛性について検証を行った。その結果、接触剛性に関するモデルを説明することについて、一定の成功を得ることができた。今後は、この接触剛性のモデルを高周波領域における三軸加速度センサの評価に適用していきたい。
|