研究課題/領域番号 |
16K06415
|
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
矢納 陽 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (70351658)
|
研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
キーワード | 強安定 / 最小分散制御 / 既約分解 / オンデマンド型フィードバック制御 |
研究実績の概要 |
プロセス制御分野では現在もPID制御が中心であるが,技術の高度化の過程においてモデル予測制御の適用が進められてきた.これまで申請者は制御系の安全性を高めるため,既約分解を用いた強安定予測制御系の構成に関する研究を行い,その中で,安全率のようにどれくらい強安定化できるのかといった強安定率という指標を提案した.これに対し本研究では,この強安定率を常に高い値に維持し続ける制御系(以下,スマート強安定系と呼ぶ)の構成法を開発することが目的である.そのため,昨年度に引き続き強安定系の構成に関する研究を行った.具体的には,平成29年度以降の計画に従い,スマート強安定系の構成と理論的発展を目指し,モデルベースドな制御手法において強安定系を構成する設計パラメータを多項式や有理関数とした場合を中心にして検討した.本検討では制御法として一般化最小分散制御法を扱っており,また,既約分解によって制御則が高次になる可能性を小さくするため,制御則を直接拡張する手法を開発したが,これまでは設計パラメータを定数に限定していた.そこで,前述の通りこのパラメータを新たに多項式や有理関数とすることで制御則を構成する自由度を増した.この手法は,新しく定義した一般化出力に対して従来法と同じ手順で制御則が得られるため,実装が容易になると言える.さらに,一般化出力に導入した多項式や有理関数の設計パラメータを適切に選ぶことで,出力に現れる雑音の影響が抑えられることを確認した.また,フィードバック信号の大きさも調整できることから,申請者が提案しているオンデマンド型フィードバック制御系についても,フィードバック信号の量と出力に現れる雑音の影響を調整するなど,さらなる発展が見込まれる.これらの成果については国内の会議等で報告した.引き続き,スマート強安定系の構成法の開発を進める.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計パラメータの構造を多項式,有理関数とした場合についても数値実験を行い,出力に現れる雑音の影響が抑えられることも確認できたため.
|
今後の研究の推進方策 |
多入力多出力系への拡張をふまえ,状態空間法による制御系の構成法の開発を進めていく.また,一般化最小分散制御法だけでなく,予測制御法への展開やオンデマンド型フィードバック制御系の構成についても検討を進めていく.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究補助として計画した予算を使用しなかったため. (使用計画)消耗品費(ソフトウェア,電子部品,機械材料)として40万円,旅費(IEEE ETFA2018(イタリア),SICE2018(奈良))として40万円,研究成果投稿費用として40万円を計画しています.
|