研究課題/領域番号 |
16K06418
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
西田 健 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30346861)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | パーティクルフィルタ / 故障検出 / 状態量推定 |
研究実績の概要 |
パーティクルフィルタ(PF: particle filter)は,各時刻で推定される状態量の確率分布を重みつき粒子の集合として近似表現することができる.PFはノンパラメトリックなベイズフィルタの実装方法の一つであり,事後信念から状態をランダムにサンプリングして事後信念を表現することで,ガウス分布よりも複雑な分布を表現可能である.本研究では,PFを状態フィードバック制御系の状態観測に利用すると同時に,その粒子分布を監視することで,制御系の想定からの逸脱(故障)の定量化を行う手法を構築した. 当該年度は,三種類の確率分布の監視手法を構築し,それらの性能を検証した. まず,有効サンプルサイズ(通称ESS)の値の変化を監視することで,観測モデルの統計的な変化を検出する手法を構築した.事前に設計されたシステムモデルと観測モデルに対して,実プラントの統計的なふるまいが忠実であれば,粒子の重みの偏りは急激には増加せず,リサンプリングステップ後からESSの値が徐々に減少していく.一方で,システムに障害が発生し,急激にプラントの統計的な挙動が変化した場合には,粒子分布による観測の近似精度が急激に低下し,急激なESSの減少が生ずる.そこで,ESSの急激な減少を観測することでシステムの故障を判定する手法を確立した. つぎに,事前に用意された観測モデルと状態推定結果(重みつき粒子分布)の類似度をχ二乗検定により判定する手法を構築した.本手法によっても,故障判定を行うことができることを確認した.しかし,これらの二種類の手法では,モデルと推定の乖離をスカラの値で表現するのみであり,故障の種類を判定することはできなかった. そこで最後に,PFの粒子分布を時系列方向に重畳してヒストグラム化する手法を構築した.この手法により,事前に想定されたモデルからの故障状態における逸脱と逸脱の種類を定量化できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度までに,パーティクルフィルタを利用して制御系の状態量推定と故障検出を同時に行う複数の手法を提案できたことから,当初計画通りに進捗しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は申請書に記載した予定通りに,【サブテーマ3:実応用を想定したシミュレーションと実験】について推進する. まず,(3-1)シミュレーションによる性能検証について,IoT ネットワークからセンサデータを獲得しデータ解析を行う状況を想定したシミュレータを構築し,構築したFDIR手法が有効に機能するか検証する.つぎに,(3-2)実験による性能検証について,複数異種のセンサを搭載した自律移動ロボットの走行制御系を構成する.自律走行中にセンサが故障する状況を想定したシミュレーションと実験を行い,構築したFDIR 機構が有効に機能することを確認する.最後に,本研究の総括を行う.
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