研究実績の概要 |
前年度までの研究成果を受けて,サイバーフィジカルシステムをその構成単位ごとに自律的に行動するマルチエージェントシステムとしてモデル化し,各エージェントの構造は知的判断部,基本機能部,ネットワーク通信関連部からなるものとしてネットワーク上で実用可能性を検証できる程度の規模をもつ分散型のプロトタイプシステムを構築した.複数台のクライアントマシンおよびネットワーク部品やメモリモジュールから構成した.またプロトタイプシステムのアーキテクチャを決定する際に,コスト,資源,処理時間などの制約条件下で,システム全体として効果的な信頼性,ロバスト性,安定性などの効用の最大化策を選択し,バランスの取れた分散システムの構成を決定するアルゴリズムを開発し,効率的なシステム形態をとるプロトタイプシステムとして構築した. 上記のプロトタイプシステムを用いたシミュレーションプログラムを作成し,多くの事例に対してシミュレーションを実行した.実用可能性を検証するために必要な基礎データを収集するとともに,提案手法の評価とアルゴリズムの性能向上を図った.これにより,提案手法の有効性を具体的な事例を通して示すことができた.さらにこれまでに得られた知見であるソフトウェアの設計図となるモデルを開発の中心に置き, モデルの再利用や異なる種類のモデルへの変換, モデルから実装成果物の自動生成を含む開発手法で, 開発工数の削減や設計と実装の齟齬をなくすことができるモデル駆動開発手法を用いると,提案手法はシステムを現実の世界に応用した場合のフレキシブルな開発技術として実用化に耐えうる技術であるとの見通しを得た.
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