研究実績の概要 |
人の感性に基づく感性データは、感性特有の曖昧性を有しているが、同じ現象を表現しても、個人毎の揺れを生じる。この揺れを確率現象とみなせば、感性に基づいて表現される現象自体が不規則現象である場合は、得られた感性データは、感性の揺れによる不規則性と、観測対象自体のそれの二重の不規則性を有する「曖昧不規則データ」となる。本研究では、この様な「曖昧不規則データ」を継続的に研究している。 平成28年度は、気まぐれに揺れる人の感性を通して得られる曖昧不規則データのうち2次元データの具体的な取り扱い手法について考察を行った。特に、揺れと曖昧性を伴って識別されるその対象現象自体は確定的である場合の数学的モデルを2次元の場合に限定して、その具体的な推定法と漸近的性質を数値的に検討した。その成果のうち、レベル集合を円盤形に限定した場合についての結果を、英文論文として纏め、追手門経営論集に論文として投稿した。また、より一般的に、レベル集合を凸多角形とした場合の結果を、以下の国内で開催された国際会議において発表した。 Tokuo Fukuda, On Two-Dimensional Fuzzy Random Data as Vague Perceptions of Crisp Phenomena, the 46th ISCIE Intl. Symp. on Stochastic Systems Theory and Its Appl., Nov. 4, 2016, Fukuoka, Japan. 上述のような「曖昧不規則データ」は、社会科学分野には多くあるが、十分に活用されている、あるいは理論的根拠が明確な形で処理されているとは思えないことが多い。従って、それら「曖昧不規則データ」を活用する理論的根拠を確立できれば、極めて有用であると思われる。
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