研究課題/領域番号 |
16K06434
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
漆原 史朗 香川高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (90311092)
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研究分担者 |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (40185187)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高次反力オブザーバ / ストライベック効果 / データ量の最小化と最適化 |
研究実績の概要 |
平成29年度では,前年度シミュレーション解析により問題点等を改良したセンサレス力覚フィードバック制御系を試作システムに実装し,実機実験にて提案するセンサレス力制御系の検証の準備を行った。力覚フィードバック制御系の対象として,一般的な直線変換機構であるボールねじ機構を用いて作業環境に対する押し付け力とその反力を再現するシステムを構築した。実装前の最終検証として制御対象に非線形摩擦を含んだモデルを対象として広帯域力センシングに着目した高次反力オブザーバを設計している。その際,非線形摩擦として静止摩擦に加え,低速動作時でのストライベック効果を考慮した摩擦モデルを用いている。数値解析により,高速かつ高精度な力覚推定が可能であることが確認できた。 さらに、研磨工程を想定した押しつけ動作に対して力および位置の指令データとして解析を行い、それらのデータ量を最小かつ最適化を図るデータ補間アルゴリズムを提案した。最小データの取得方法として,人間が動作できる周波数より高周波帯域を逓減することで不必要なデータの圧縮を図った。この圧縮手法により元データと圧縮データの間には約20msの遅れが発生することが分かった。そこで,入出力の時間軸を揃えるために群遅延補正を行い,最適化した力覚データとして取り扱うことを可能にした。平成30年度においては,熟練機能最小データから元データへの逆再生の可否を検証する。 最終目標としてセンサレス力覚制御系と熟練技能データ獲得の技術を融合した熟練技能の再現する力制御システムを改めて再設計し,試作システムへの搭載を行い評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は卒業研究テーマとして学生1名に加え,専攻科1年生の特別研究テーマとして本課題を進めてきた。本課題の熟練技能の再現技術を,広帯域の力センシングと膨大なデータ処理に関する課題に分けて研究を進めた。 まず,広帯域の力センシングについては,制御対象としてボールねじ駆動システムにおける力制御系のハードウェア設計と施工により実機実験における検証の準備を整えた。また,ボールねじの可動部位置によって特に低速時に摩擦特性が顕著に変化する制御対象に対して,ストライベック効果を考慮した摩擦モデルを用いて広帯域反力推定オブザーバの設計を行い,数値解析により有用性を検証した。 一方,熟練技能データの最適化については,力覚データの取得方法を確立した。本手法として,ボールねじ駆動システムの可動部に設計したスタンドに力センサを取付け,作業環境を模擬した硬化ゴムに押しつけ動作を行った場合の力覚データをデータロガーによる単位変換機能と信号記憶機能を用いて取得した。取得した力覚データを元データとして,人間が動作できる周波数より高周波帯域を逓減することで不必要なデータの圧縮を図れると判断し,ローパスフィルタによるデータ最適化を図った。ローパスフィルタによる高周波ノイズの除去や遅延補正を行うことにより,データ容量を約60%に圧縮することが可能であることを実証した。 今後は,押しつけ動作を行う材料や道具などの作業環境をモデル化したばね定数やダンパー定数などを実測により同定し,ボールねじ駆動システムの実機実験における広帯域反力オブザーバの有用性を検証する。さらに,この力覚推定値をフィードバック信号として利用する力制御系の安定性や制御性能とセンシング帯域との関係も明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成30年度においては,摩擦特性が顕著に変化する制御対象に対してティザ信号の重畳が有効であることを検証した広帯域反力オブザーバを実機に実装する。その上で,押しつけ動作を行う材料や道具などの作業環境をモデル化したばね定数やダンパー定数などを実測により同定し,ボールねじ駆動システムの実機実験における広帯域反力オブザーバの有用性を検証する。さらに,この力覚推定値をフィードバック信号として利用する力制御系の安定性や制御性能とセンシング帯域との関係も明らかにする。また,熟練技能データの最適手法の良否をボールねじ駆動システムの押しつけ動作の制御性能を基づいて定量的に検証する。 これらの測定データの解析とシステム同定解析ソフトとして170千円と実測用拡張PCIバスユニット180千円,データ解析用コンピュータ100千円を計上する。また,研究グループの打合せに240千円と研究成果の発表等の国内旅費として250千円,基礎データの収集等で実験補助の大学院生や専攻科生2名に対する謝金として60千円を計上する。
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次年度使用額が生じた理由 |
電気学会学会誌Cへの論文投稿費用24,958円として翌年度(30年度)への次年度使用額として計上している。
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