研究課題
現在、工作技術ロボット技術の向上によって、機械部品の製造の自動化が進んでいる。それに伴い、精密機器製品に必要不可欠である精密部品の需要が増加している。そのような精密部品のうち、特に金型や精密ギアなど機械部品の仕上げ工程には、熟練技能者の長年にわたる経験や繊細な力の感覚を用いた高度な技術が必要不可欠となっている。しかしながら、熟練技能者の手作業による生産は、大量生産が困難であり、人件費等が加わることでコストも高くなってしまう。また、社会情勢として、少子高齢化の進行により、熟練技能者の高齢化や継承者の減少により、熟練技能自体が消滅する恐れもある。このような背景より、熟練技能を機械によって再現させるためには、繊細で高度である熟練技能の電子データ化とそれを再現するさせるための高精度な位置決めと力制御をするシステムの構築が必要と考えられる。本年度においては、熟練技能を再現する動作対象として押しつけ動作に着目し、力覚データの獲得と圧縮手法の提案及びその検証を行った。力センサから獲得したデータを用いて短時間フーリエ変換(STFT)による解析を行った。その結果、人間が意図していない動作データの周波数成分をフィルタで除去し、可変サンプリングによるデータ量の圧縮を図った。実測データによる検証から、圧縮データは元データの一定周波数以上の周波数特性を損なわず、データ量を約25分の1まで圧縮することができた。一方、高精度力制御系構築を目的として、非線形摩擦の影響が問題となるACサーボモータ駆動ボールねじシステムを対象とした広帯域高次反力オブザーバを設計した。設計オブザーバを実システムに実装して検証を行った結果、トルク指令信号の単ステップ入力時では,設計オブザーバを用いて高精度かつ高速な推定が可能であると確認できた。しかしながら,階段状ステップ入力では,力を抜いた際の精度に課題が残った。
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IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems
巻: 138 ページ: 591~592
https://doi.org/10.1541/ieejeiss.138.591