(1)積雪寒冷地での適用を想定した天然ゼオライト混和コンクリートの塩化物イオン吸着機能に関する基礎的検討として,プログラム可変の恒温恒湿機内で,予め塩化ナトリウムを混和したセメントモルタル供試体に対して,端面から凍結融解作用を与え,凍結融解作用環境下での塩化ナトリウムイオンの分布の変遷について,実験的に検討した.その結果,凍結融解作用によって,凍結融解を受ける端部の塩化物イオン量が低下し,モルタル内部の塩化物イオン量が増加する傾向を定性的に捉えることができた.今後はこの傾向が定量的傾向であること,ならびにその機構について明らかにする必要がある. (2)天然ゼオライト混和コンクリートの物質吸着機能に関する基礎的検討として,リン酸イオンを用いて,ポーラスモルタルによる吸着試験を行った.その結果,ゼオライト単体ではリン酸イオンが陰イオンであるため吸着性能を有しないが,セメントペーストは吸着性能をもち,さらに,セメントペーストと天然ゼオライトを複合することで,吸着性能が向上することを明らかにした. (3)天然ゼオライト混和コンクリートのサンゴ育成基盤としての適用性能について,和歌山県串本町に加えて,鹿児島大学と連携して鹿児島県与論町における暴露試験を開始した.サンゴ幼苗をモルタル基盤に植え付け,その成長に対して天然ゼオライトを混和したモルタル,酸化チタン粉末を混和したモルタルの差異に対して実験的検討を行い,環境復元基盤用材料としての適用性を明らかにした. (4)凍結融解作用環境下におけるゼオライト骨材とゼオライト粉末を混和した場合の,細孔分布の変遷について,明らかにした.
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