研究課題
本年度は、モノカーボネートにC-S-Hが共存した場合のエトリンガイトの二次生成促進機構を明らかにすべく、C-S-Hの化学組成および生成過程に着目して検討を行った。加えて、27Al NMRを用いて、結晶構造の観点からも詳細な検討を試みた。その結果、(1) モノカーボネートにCHおよびASを同時共存させ、硫酸ナトリウム水溶液を用いて練り混ぜ水和を行った場合、C-S-Hを共存させた場合と同様にエトリンガイトの二次生成が促進された。また(2) 27Al NMRの結果より、モノカーボネートの溶解により形成されたC-A-S-H中のbridging siteのAlがエトリンガイトの二次生成に寄与している可能性が示唆された。加えて本年度は、モノカーボネートの添加条件や温度および構成鉱物の違いがソーマサイトやソーマサイト・エトリンガイト固溶体およびエトリンガイトの生成に及ぼす影響を把握することを目的として検討を行った。なおこの検討は、ソーマサイトが安定に生成する少量のモノカーボネート添加および低温環境下ではなく、多量のモノカーボネート添加および高温環境下における検討を主眼に置いており、ソーマサイトではなく、膨張性状を示すエトリンガイトの二次生成メカニズムの検討にもつながるものと考えられる。その結果、モノカーボネートを少量添加した添加量0.75~15%では、まず、エトリンガイトが生成し、その後ソーマサイトへと変化したことが確認された。一方、モノカーボネートを多量に添加した添加量25~90%では、ソーマサイトの安定生成域である低温環境下であっても、反応初期にエトリンガイトが多量に生成し、その後材齢が進むにつれ更にエトリンガイトの生成量が増加する結果となった。またモノカーボネート添加量や養生温度がソーマサイトの安定生成条件から外れることによって、エトリンガイトの生成が促進る結果となった。
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