研究課題/領域番号 |
16K06452
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
廣川 一巳 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00100751)
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研究分担者 |
渡辺 暁央 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00422650)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ホッキ貝殻 / 水酸化カルシウム / 炭酸カルシウム / アラゴナイト型 / カルサイト型 / 膨張 / 凍害 |
研究実績の概要 |
本研究はアラゴナイト型炭酸カルシウムであるホッキ貝殻を粉砕して1000℃で焼成した粉末をセメントに置換してコンクリートを作製すると膨張が発生する機構を利用した研究である.焼成した貝殻は酸化カルシウムであるが,アラゴナイト型炭酸カルシウムのホッキ貝殻とカルサイト型炭酸カルシウムのホタテ貝殻では,膨張特性が異なり,アラゴナイト型に起因する貝殻の方が大きな膨張を示す. 今年度の実験では,コンクリートに混入することによる膨張特性の把握,および耐凍害性に及ぼす影響について検討を行った.耐凍害性を与えるためには,表層コンクリートを炭酸化することが有用であり,炭酸カルシウムを増量させる手段として,焼成貝殻を混入した水酸化カルシウム増量コンクリートを作製した.異常膨張が発生しない範囲で焼成貝殻の混入率を決定するために,膨張率の測定を実施した.その結果,セメント置換率が3%程度であれば異常な膨張が発生しないことがわかった.この配合により作製した水酸化カルシウム増量コンクリートについて,実環境を模擬した条件による凍結融解試験を行った.その結果,一定期間,気中乾燥させることにより,表層部の炭酸化が進行し,表面はく離の抑制が確認された. また,温度コントロール制御機能を有した空気槽中で疲労試験を実施する試験装置において,セメント系材料で凍害の評価を行うための予備的検討を行った.試験治具の作製が終了し,普通モルタルを両端固定条件で一定速度で温度低下を行ったときの過冷却による温度応力のデータを得ることが可能となった.次年度は,焼成貝殻で膨張を付与したモルタルによるデータ収集を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既往研究では焼成貝殻をモルタルに混入していたが,コンクリートに混入した場合の膨張特性を把握することができた.また,凍結融解試験による効果を把握するとともに,温度コントロール可能な疲労試験機を使用した凍害評価の準備も進行しており,当初計画通りに研究が進行している.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い,温度コントロール可能な疲労試験機による凍害評価法の確立と焼成貝殻粉末混入モルタルの耐凍害性評価を実施する.また,反射電子像の画像解析による内部組織評価によるアラゴナイト型とカルサイト型で膨張特性が異なる理由について検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
温度コントロール可能な疲労試験機であるアスファルト用試験機の多機能寒冷地材料試験機について,セメント系材料にて試験を実施するための治具等製作費を計上していたが,当初計画より安価に作製が可能となったため,次年度に繰り越すこととした.
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画では超音波測定装置の購入を計上しており,当該年度配分金額では不足するため,その購入費用として次年度繰り越し分を当てる予定である.
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