研究課題
アラゴナイト型炭酸カルシウムであるホッキ貝殻の有効利用に関する研究である。ホッキ貝殻を1000℃で焼成した酸化カルシウムをセメントに置換してモルタルおよびコンクリートを作製した。このとき,酸化カルシウムと水との反応により,セメント硬化体が膨張する。焼成ホッキ貝殻混入モルタルの膨張量は,石灰系膨張材の原料と同じ成分であるカルサイト型炭酸カルシウムの貝殻を使用したモルタルより大きくなる。これは,焼成ホッキ貝殻と水の反応により,水酸化カルシウムが形成されると同時にアラゴナイト型炭酸カルシウムがモルタル内に生成されるためである。アラゴナイト型炭酸カルシウムを焼成したホッキ貝殻は,水との反応により先祖返りでアラゴナイト型炭酸カルシウムを再構成したものと考えられる。アラゴナイト型炭酸カルシウムは棒状の結晶構造であり,この結晶を生成に起因して膨張が大きくなったと推察される。焼成ホッキ貝殻粉末をセメントに置換して作製したモルタルの内部組織評価を反射電子像の画像解析にて実施した。焼成貝殻粉末を混入したモルタルは,酸化カルシウムの水和により水酸化カルシウムが増大し,膨張により粗大毛細管空隙の割合が多くなる。このモルタルの膨張をJIS A6202の拘束膨張試験器具により拘束すると,水酸化カルシウムの割合が増大し,粗大毛細管空隙の割合が減少する。この膨張特性をコンクリート材料に適用する場合,静的破砕剤,ケミカルプレストレストコンクリート,収縮低減剤などの利用方法が想定される。静的破砕剤およびケミカルプレストレストコンクリートとして利用する場合には,膨張力が重要となる。そこで,膨張力を測定する試験法,およびケミカルプレストレストによる強度の増大を確認する試験方法について確立した。実用化のためには膨張応力を評価することが重要であることを示した。
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コンクリート工学年次論文集
巻: Vol.39, No.1 ページ: 1585-1590