本研究は海水作用を受けるコンクリートの局所劣化(海水劣化)のメカニズムを解明するとともに,その劣化対策および周辺技術を開発することを目的としている。平成30年度には,以下の3点について検討するとともに,研究成果を取りまとめた。 [1]新しく公開された熱力学データベース(cemdata18)を用いて,熱力学相平衡計算で海水劣化の条件について検討した。その結果,H29年度に実施した計算結果と異なる相も析出したが,基本的にはH29年度と類似した傾向が確認された。 [2]長期間実海洋環境に暴露されたコンクリート内部の元素分布(海水からのイオン浸透及びコンクリートからのカルシウム溶脱)からCSHの減少量を解析し、ビッカース深さと比較した。CSH量の減少範囲はビッカース深さより若干浅い結果となったが、ある程度の予測が可能であることが示された。 [3] 実海洋環境に暴露されたコンクリート試験体の表層付近における劣化状況を,長期間にわたり経時的に確認を行い,これまでの検討結果と整合していることを確認した。
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