研究課題/領域番号 |
16K06457
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山川 優樹 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80324010)
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研究分担者 |
池田 清宏 東北大学, 工学研究科, 教授 (50168126)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 送電鉄塔 / 耐荷力 / 基礎の支持力 / 耐災害性 / 健全性判定 |
研究実績の概要 |
本研究では,土木構造工学の立場から送電設備の安全性向上に貢献することを趣旨として,基礎不同変位や過大荷重の作用下での鉄塔の損傷機構と耐荷力保持程度を解明するとともに,損傷後の修繕要否を判断する健全性判定指針および修繕後の回復性能を定量保証した修繕指針の確立を目指し,電力インフラの耐災害性向上に資することを目的としている. 初年度である平成28年度は,下記の研究項目1および2に取り組んだ.各研究項目の詳細は以下の通りである. 研究項目1:近年発生した送電施設の被害事例の収集と被害要因・形態の分析を行い,次年度以降に実施予定の鉄塔の損傷・崩壊機構解明のための解析で想定するハザード事象を設定した.本研究ではとくに地震や台風による被害事例に重点を置いた.地震に起因する地盤変状や土砂崩壊等は,基礎不同変位や基礎土被り喪失の要因となり,ひいては基礎の支持力低下や鉄塔の損傷をもたらすことから,典型的な基礎不同変位モードと斜面崩壊による基礎土被り喪失形態を選定した.また,強風時の塔体作用風圧や電線張力増大を想定した外力設定を行った.これらを自然ハザード事象において送電施設に作用しうる外的作用として,今後の解析検討において対象とすることとした. 研究項目2:鉄塔・基礎の耐荷性能を忠実に評価するための数値解析プラットフォームの整備をおこなった.研究代表者によるこれまでの研究により,過大荷重作用時の鉄塔損傷形態や終局耐荷力は地盤特性と基礎支持剛性が大きく影響することが示唆されていた.従って本研究では地盤-基礎-鉄塔全体系での評価が必要であると判断し,そのための数値解析環境を整備した.これにより,実在鉄塔の三次元形状と部材諸元を忠実に再現したモデル化を行い,部材降伏・座屈から全体崩壊へ至る過程や,その際の基礎の支持挙動も精緻に解析可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に即して概ね順調に進捗している.ただし,鉄塔作用外力の設定については,強風時に想定される電線振動などによる鉄塔腕金への衝撃的繰返し荷重の定量化について課題が残っており,次年度以降の継続検討が必要となっている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施した研究項目1および2により,次年度以降に実施予定である鉄塔の損傷・崩壊機構解明のための解析が可能となっている.そのため,次年度以降も当初の研究計画に沿った研究推進が概ね滞りなく可能と見込まれる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では初年度に数値解析用サーバーを導入予定であったが,これは研究代表者保有の既存機器で対応可能であった.また,研究補助謝金について,当初計画で想定していたよりも少ない人数・時間数で必要作業が遂行できた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降は今年度と比べて解析規模・ケース数が格段に増大することが見込まれる.そのため,今年度発生した次年度使用額は,解析データ処理の研究補助謝金などとして使用する予定である.
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