本研究では,鋼・コンクリート部材や複合材料部材をも含めた構造全体を三次元連続体として精密にモデル化することにより,接着された複合材料部材の剥離挙動も正確に評価できる効果的な構造解析法を構築することを目指している. 平成28年度には,異方性積層板の曲げ解析における等価単層理論の解析精度を明らかにした.さらに,三次元弾性理論の応力の平衡方程式を用いて,応力の境界条件と層境界での連続性を満足する面外応力を求める手法を開発した.さらに,平成29年度には,Refined ZIG-ZAG理論のZIG-ZAG関数を等方性平板にも適用できるように改良するとともに,厚板解析に有効な面外変位wに対するZIG-ZAG関数を開発した.さらに,この新たなZIG-ZAG関数を用いた改良ZIG-ZAG理論による直交積層板の曲げ解析において各種のZIG-ZAG理論と等価単層理論による級数解を統一的に計算する方法と,三次元弾性理論の応力の平衡方程式を用いて応力の境界条件と層境界での連続性を満足する面外応力の計算手法を開発した. 平成30年度には,平成29年度に開発した改良ZIG-ZAG理論を自由振動解析に適用して,その精度を検証するとともに,改良ZIG-ZAG理論の適用性について検証を行った. まず,異方性積層板の固有振動数の厳密解を示した研究は殆ど無く,精度検証に用いることのできる十分な有効桁数をもった精度の良い厳密解は求められていない.そのため,新たに三次元弾性理論に基づく異方性積層板の固有振動数の厳密解を求め,その固有振動モードの分類法を提案した.これに従って,改良ZIG-ZAG理論の自由振動解析における精度を調べ,固有振動モードの分類を行った.その結果,変位場にZIG-ZAG項を付加する改良ZIG-ZAG理論の精度改善効果が自由振動解析でも大きいことを確認した.
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