建設工事で発生する泥土は,細かい粒径の土砂で水分を多く含むため,そのままでは有効利用できない.そのため,脱水したりセメントを添加したりして泥土の性質を改善することにより利用されてきたが,他の建設副産物に比較して利用率が低い.具体的な状況として,脱水処理する場合には,脱水した泥土の強度や硬さが十分でないために,利用用途が限られることが多い.一方,セメント添加で処理する場合には,現場で必要となるまでセメントを添加できず,その間,周囲を囲えるヤードで泥土を保管する必要があり,容量の制約から,製造量の柔軟性に乏しい. そこで申請者は,有効利用技術の一つとして造粒による改良技術に着目した.本研究では固化材を効率よく混合するための泥土のほぐし材として吸水性材料を利用し,最小限の加水によって改良土の高耐久性化を図る.一昨年度は泥土のほぐし材としての吸水性材料の選定を行い,昨年度は吸水性材料として好適として選定したペーパースラッジ灰系改良材を泥土に添加して改良土を作製し,養生が改良土の強度特性に及ぼす影響を調べるとともに,養生にともなう物性変化の要因を検討した. 今年度は泥土の固化処理を実施する際に吸水性材料であるペーパースラッジ灰系改良材を適切な手順で適量を添加することにより,初期強度の発現を速め,かつより少ない固化材の添加量で高強度を確保する検討を行った.具体的には液状泥土に最初に吸水性材料を加えて瞬時に性状を改質し,数時間~1日後にセメント系固化材を加えると飛躍的に強度を改善できる結果を得た.これにより盛土材としての必要な強度を確保でき,繰返し載荷による細泥化を抑制できるとともに,セメント添加量抑制により改良土の中性化の促進が図られた.さらに泥土の含水比に応じて,セメント系固化材の水和反応に必要な水量を担保できるように吸水性材料の添加量を調整する必要があることも明らかになった.
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