研究課題/領域番号 |
16K06491
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
斎藤 雅彦 神戸大学, 工学研究科, 助教 (40283915)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 斜面内浸透流 / 気液2相流解析 / 不均一性 / 間隙空気 / 空間分布モデル |
研究実績の概要 |
本研究では,豪雨時の斜面崩壊に密接に関係する斜面内浸透流について,通常の浸透流解析では無視されている物性値の空間的不均一性および間隙空気の挙動に着目し,豪雨時における斜面内の飽和度や間隙水圧・間隙空気圧の空間分布,およびそれらの時間変化について,実験的および解析的検討によってその特徴を定性的/定量的に把握することを目的としている. 平成29年度は,室内模型実験を実施し,均一斜面と一部に低透水域を設定した不均質斜面における水面形の相違を確認した.とくに不均質斜面では低透水域において顕著な水面上昇が生じることを確認した.また,地下水位の上昇に伴う崩壊過程を観察し,低透水域の有無によって崩壊の様子が異なることを確認した.さらに,これらの実験結果に対して数値シミュレーションによる水位分布の再現を試み,模型実験と同様の水面形状が得られることを確認するとともに斜面安定解析を実施した.その結果,得られたすべり面形状は,実験によって得られた崩壊形状と整合するものであったが,最小安全率については両社に顕著な差は見られなかった.一方,実験スケールを実スケールに拡大した数値シミュレーションでは,低透水域の存在が安全率を低下させることを確認した. これに加えて,前年度に実施した透水係数の空間分布モデルを用いた断面2次元不均一斜面の2相流解析を3次元に拡大し,斜面奥行き方向の長さの違いが最大間隙水圧と間隙空気圧に与える影響について定量的に検討した.その結果,斜面奥行き方向が大きくなるほど最大水圧・空気圧は大きくなる傾向が見られ,同一の降雨強度に対して奥行き5mと50mでは約0.2mの差が生じた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
模型実験により不均質場における斜面内浸透流の特徴とすべり面形状を確認し,これらを数値シミュレーションによって再現可能であることを確認した.これは,計画立案時に想定した結果を実現したものである.また,空間分布モデルを用いた数値実験による検討についても計画時に目標としていた3次元斜面を対象に実施し,有用な結果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通りモデル斜面による検討を引き続き実施するととに,実際の崩壊事例について崩壊に至ったメカニズムについてより詳細に検討する.
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