本研究では,豪雨時の斜面崩壊に密接に関係する斜面内浸透流について,通常の浸透流解析では無視されている物性値の空間的不均一性および間隙空気の挙動に着目し,豪雨時における斜面内の飽和度や間隙水圧・間隙空気圧の空間分布,およびそれらの時間変化について,実験的および解析的検討によってその特徴を定性的/定量的に把握することを試みた.その結果,不均一な斜面では,低透水域の上流側において顕著な地下水位の上昇が生じ得ることを確認した.また,300ケース以上の解析結果より,豪雨時における斜面内湧水と表面流の発生メカニズム,および不均一性や間隙空気が安全率に与える影響について定量的な知見を得た.
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