研究課題
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された多くの放射性物質の中で,セシウム137は放出量が1.5×10^16ベクレルと多量であること,かつ,半減期が約30年と影響が長く続くことから,事故から約8年が経過した現在も福島県の広い範囲で検出が続いている.セシウムは福島県の土壌に遍在するバーミキュライトなどの粘土鉱物に固定されることで,その除去が困難となることが知られている.そこで国や自治体は除染対象地域の空間線量を下げるために表土の剥ぎ取りによる除染を行ってきた.全土剥ぎ取りによって発生する汚染土は最大で東京ドーム約18杯分に相当する約2200万立方メートルと推計されており,それらの汚染土はフレキシブルコンテナバッグと呼ばれる袋状の包材に封入され,県内各地の仮置場に一時的に保管されている.フレコンバッグは今後,中間貯蔵施設に搬入され焼却による減容化が行われる予定であるが,大量のフレコンバッグの輸送,および中間貯蔵施設での処理方法には課題も多く,フレコンバッグの劣化も始まっていることから,一刻も早く仮置場において汚染土中のセシウムを除去し,減容化させる技術が必要となっている.まず,本研究では,フレコンバッグでのセシウム抽出を想定して模擬フレコンバッグを作成し,これに投入した模擬汚染土壌であるバーミキュライト混合砂に対して様々な条件下で電気泳動法によるセシウム抽出および吸着材(ヒドロキシアパタイトならびに無加工籾殻)への吸着試験を通して,セシウムを20%程度減じることに成功した.次に,セシウム以外の放射性物質としてストロンチウムに着目し,ストロンチウムが可溶性で,かつ,セシウムのように土壌に留まらないことから,様々な水溶液中に溶けたストロンチウムに対して,ヒドロキシアパタイトを用いた吸着試験を実施したところ,塩化マグネシウム溶液以外は,1週間の浸漬でほぼ完全に吸着ができた.
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International Journal of GEOMATE
巻: Vol.16, Issue 55 ページ: 46-52
巻: Vol.16, Issue 55 ページ: 23-28
巻: Vol.14, Issue 45 ページ: 130-135
巻: Vol.14, Issue 45 ページ: 136-143