研究課題/領域番号 |
16K06493
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
金子 賢治 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (30333834)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 土質力学 / 粒状体力学 / 短繊維混合補強土 |
研究実績の概要 |
本研究では,摩擦性材料である粒子集合体の力学的特性を改善するために,長さ数10mm のファイバー(短繊維)を混合した複合材料について,その強度や変形特性を解明する.また,ファイバーを混合することによる補強メカニズムや補強効果を微視的な視点により明らかにすることを目的としている.さらに,ファイバー混合率の強度特性に対する最適値の存在に着目して,それと粒径や粒度との関係,補強材の配向との関係などについて詳細に検討する.短繊維を微視的に配置して補強した粒状材料の補強メカニズム,破壊基準や流動則などの巨視的な構成モデルと密接に関連する情報や実務での配合設計・構造設計に有用な情報を収集する. 研究初年度である平成28年度は,主に2 次元問題についてマルチスケール解析コードを作成し,数値実験により検討を進めた.ファイバーを混合しない既存の解析コードを拡張・改造して,ファイバーを混合した粒状材料の解析が可能なコードを作成した.また,短繊維の引張試験を実施してヤング率を求め,これを元にシミュレーションに用いる材料定数を合理的に決定した.その上で,室内三軸圧縮試験の再現シミュレーションを行って,概ね整合する結果を得ることができた.また,ファイバーの混合率を変化させて一連の数値実験を行って,最適混合率の発現およびそのメカニズム関する考察を行った. また,室内試験として,三軸圧縮試験を実施するときの密度の条件を設定するために必要な締固め試験を,混合率を変化させた場合にそれぞれ実施して,混合率と最大乾燥密度の関係などの知見を取得した.これに基づいて三軸圧縮試験を実施して,数値解析コードの性能評価・キャリブレーションに使えるデータを取得した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄に示した平成28年度の内容については,ほぼ申請書通りであり,概ね順調に進展している.ただし,間隙率など,合理的な方法では変更が難しいパラメータについては,一部検討を実施できていないものもある.当初の想定よりも検討が不足しているパラメータとして,間隙比・ファイバーの配向の影響・粒径の影響などが挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの研究成果」欄で示した一部不足している部分における間隙比については,平成29年度以降に3次元化を行った際に検討を実施する.また,配向の影響や粒径の影響については,概ね目処がたっており,数値実験を多数実施することで,対応する予定である. 平成29年度以降は,解析コードを3次元に拡張し,より定量的な評価を行っていく予定である.特に最適混合率と各種要因について詳細に検討する.さらに,多くの数値実験に基づき流動則,降伏面,塑性ポテンシャル面・繰り返し変形挙動・主応力軸回転挙動などの数理モデル構築に必要となる諸力学特性について考察を行う.また,既存の構成モデルとの比較,マイクロメカニズムの考察を行う.また,室内試験においては,種々のパラメータがあるので継続して実験を行ってデータを蓄積する.さらに,ファイバーの配向に着目して検討を行う.また,侵食や洗掘に対するファイバー混合の効果などについても検討を行う.これらの数値実験および室内試験に基づいて,巨視的な強度変形特性の考察と微視的メカニズムの考察を実施する.
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