土などの粒状材料における強度や粘り強さを改善する工法の一つとして短繊維混合補強土工法が知られている.この工法は土や安定処理土に長さ数mm~数十mm程度のポリエステルなどでできた繊維材料を混合することにより,地盤の力学特性の改善や浸食に対する抵抗性の向上,植生の根の引き抜き抵抗の向上などの効果が得られ,地盤材料の力学特性を改善する工法である.また,発展途上国ではヤシなどの天然繊維を用いる場合もあり今後発展が期待できる工法の一つである. 本研究においては,地盤材料に繊維材料を混合した複合地盤材料に関する力学的研究を実施してきた。室内試験および粒状要素法を用いた数値実験手法を開発し,補強メカニズムの解明と強度変形特性の把握を目指した。まず,せん断強さに対する短繊維混合率の最適混合率が発現するといった補強メカニズムを明確に示した。しかしながら,土質や繊維材料の寸法,形状,材質など多くの要因が複雑に作用するため,幾つかの課題が残された。 次に,繊維材料を混合することにより複合地盤材料の締固め特性は地盤材料単体の性質とは異なると考えられるため,複合地盤材料の締固め特性を把握したうえで強度試験を行い,強度変形特性について検討を行った。砂質土に直径の異なる3種類の短繊維を混合した複合地盤材料についての締固め試験を行い,次に,地盤材料のみの締固め特性に基づいて作製した場合と,複合地盤材料の締固め特性を考慮して作製した場合の2種類の供試体作製条件を設定し,それぞれの条件で混合率と繊維直径を変化させて作製した供試体について三軸圧縮試験を行った。これにより強度変形特性の把握,補強メカニズムについて比較・検討を行った。 これらの結果,未だに幾つかの課題は残されるものの,強度変形特性と補強メカニズムについての重要な知見が得られた。
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