研究課題/領域番号 |
16K06494
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
平川 大貴 中央大学, 理工学部, 教授 (40372990)
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研究分担者 |
荒木 裕行 中央大学, 理工学部, 助教 (30780837)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 破砕コンクリート / リサイクル材料 / 土構造物 / 物理化学的性質 / 六価クロム / 強度変形特性 / 封じ込め / 固化 |
研究実績の概要 |
破砕コンクリート(コンクリート塊)は,六価クロムCr(VI)の溶出に伴う環境リスク,強度変形特性のばらつきによる土構造物の構成材料としての適否という異なる2つの要因のため,現状では盛土材としての活用は限定的である。本研究は上記の2つの問題の原因を科学的に調べ,その対応方法を見出すことを目的としている。 初年度(2016年度)では,破砕コンクリート粒子に含有するCr(VI)は微量で,締固め後の乾燥密度値は同粒度の天然砕石と比べて低いが強度は同程度であることを確認した。すなわち,破砕コンクリートは盛土材として活用できるが,Cr(VI)の溶出対策と盛土材料としての品質の改善が重要である。この知見を踏まえ,2年次(2017年度)では重金属類の吸着材として開発された微粉末を混合による対策の効果を検討したところ,微粉末の硬化物で被膜することでCr(VI)を破砕コンクリート粒子内に封じ込めつつ,被膜の固化作用によって破砕コンクリートのせん断強度を向上できることを確認した。3年次(2018年度)は,1)経済的でより強固な固化作用が期待できる固化材の効果,2)破砕コンクリートの再生化方法の改善の必要性,について検討を進めた。2)は現状での粉砕~粒度調整に加えて,破砕コンクリート粒子に付着するセメント硬化物の除去の必要性に関する検討である。1)に関して,硬化材には普通ポルトランドセメントよりも,高炉セメントB種で高い効果を発揮できることが明らかとなった。一方,2)においては,破砕コンクリートに含まれるセメント硬化物を完全に取り除くことは現実的に困難であり,さらに再生化に要する経済的負担を考慮すると,再生地盤材料としての用途に対しては従来の粉砕~粒度調整の再生化方法が妥当であると考えられる。すなわち,現状で市販されている破砕コンクリートに対して,高炉セメントB種等の固化材を混合することで盛土材として活用できると考えられる。
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