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2016 年度 実施状況報告書

トンネルコンクリートへの科学的マネジメント導入のための漏水部劣化予測に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K06499
研究機関第一工業大学

研究代表者

岩波 基  第一工業大学, 工学部, 教授 (90435420)

研究分担者 村上 祐貴  長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (70509166)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードトンネル / コンクリート / 中性化 / EPMA / 漏水 / 劣化予測
研究実績の概要

東京地下鉄のトンネルから供用年数90年~40年の建設年次が異なる地下鉄駅6駅における改良工事で発生した撤去側壁の内面側から地山側を貫通するコンクリートコアを採取し,外観観察,配合推定,圧縮試験・静弾性試験,細孔径分布の測定,電子顕微鏡観察そしてEPMA分析を行い,中性化深さも計測した.それらを総合的に判断して中性化速度を算定した.地下鉄トンネルの地山側の中性化速度は,√t則によっているのではなく,コールタールによるコーティングの品質で決まることが判明した.地下鉄トンネルの内面側の中性化速度係数は,現行のコンクリート標準示方書の方法では安全側の設計ではなく,地上構造物のコンクリートより中性化速度が2倍程度速いことを確認し,その原因が施工方法と地下空間の湿度変化,そして地下水の漏水にあることを解明した.この知見をコンクリート工学年次論文に投稿し掲載が決定している.
漏水による中性化の進行を定量化するため,舗装用曲げ試験体である150mm×150mm×400mmの型枠を使用して経費を削減して長方形コンクリート試験体を60体作成した.コンクリートは,設計基準強度24N/mm2,普通ポルトランドセメントの一般的にトンネル構造物に使用されるも採用した.60体は,すべて曲げ試験機で中央部を折ったのち,型枠とボルト・ナットを用いて中央部のひび割れ幅を0.5mmに調整した.この上に50cmの水深を保つように容器を設置して,1ヶ月,3ヶ月,1年の3種類の漏水期間で実験を行っている.また,比較のため,通水しない試験体も作成した.このように漏水の環境を再現して,セメントのCa成分が溶脱する量と範囲をEPAMを用いて定量化し,中性化速度への影響を定式化してトンネルによる中性化速度の算出方法を確立し,劣化予測の精度を向上させる予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

とくに問題なし

今後の研究の推進方策

今年度は,さらに,東京地下鉄のトンネルから供用年数90年~40年の建設年次が異なる地下鉄駅2または3駅における改良工事で発生した撤去側壁の内面側から地山側を貫通するコンクリートコアを採取し,追加の外観観察,配合推定,圧縮試験・静弾性試験,細孔径分布の測定,電子顕微鏡観察そしてEPMA分析を行い,中性化深さも計測する予定である.それらを用いて,中性化速度の算定式をさらに総合的に判断するため,1年間の温度と湿度,風向,風速を計測することとした.これにより,新設の地下鉄トンネルの内面側の中性化速度係数を算定する式の精度が大幅に向上すると予想される.
漏水による中性化の進行を定量化実験では,昨年度中に1ヶ月の透水試験を終了し,通水した断面の外観観察,ビガー試験,電子顕微鏡観察そして1cm×10cmの資料を採取してEPMA分析を行う準備のため,資料を慎重に成形しているところである.また,透水試験中に採取しておいた漏水を採取した透水経過日数ごとにpHと溶存物質の分析を行う予定としている.残りの3ヶ月と1年の透水試験の試験体も同様の分析試験を行い,セメントのCa成分が溶脱する量と範囲をEPAMを用いて定量化し,中性化速度への影響を定式化してトンネルによる中性化速度の算出方法を確立し,劣化予測の精度を向上させる予定である.

次年度使用額が生じた理由

EPMA分析の機材レンタル費用が,全分析の終了後でないと確定しないため,請求が遅れることとなった.

次年度使用額の使用計画

1年間の透水試験が終了する29年末から分析を行う試験体があるので,予算の執行は29年度中にはできると予定している.

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公開日: 2018-01-16  

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