研究課題/領域番号 |
16K06500
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岡林 宏二郎 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 教授 (70185461)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 液状化 / 動的一面せん断試験 / 南海トラフ巨大地震 / 地震応答解析 / 逐次非線形解析 / 遠心力模型実験 |
研究実績の概要 |
Ⅰ.一面せん断試験の精度向上と液状化強度試験の実施 1)単純載荷定体積試験の精度を上げるため、①垂直変位の変動幅を±0.01mm以内に制御するため、2台の鉛直反力計を独自制御できるように改善した。②超低応力の圧密応力に対して実験できるように圧密前後で鉛直荷重板の傾きを調整できるように改善した。中程度の密度(Dr=50%)に対しては、これまでは強度増加が見られなかったが、豊浦標準砂を用いた追加実験により、①②の改善で密度に応じた強度が得られることを確認した。2)繰り返し一面せん断試験を実施し液状化強度試験も実施できることを確認した。液状化強度は、振動三軸試験と比較して大きく求まる。これに対して、さらにデータを蓄積し検討していく必要がある。 Ⅱ.地震応答解析および模型実験の実施準備と予備実験 Ⅰ.で求めた液状化強度及びパラメータを検証するため、地震応答解析、模型実験の準備と予備解析を実施し以下のことが確認できた。1)地震応答解析法(大きなひずみレベルまで精度良くシミュレーションできるMDMモデルを用いた逐次非線形解析法)の解析精度を検討するため、熊本地震で地震波が観測された箇所について、基盤波を入力し地表波を求め、実測地表波と比較することで解析法の検証を行った。その結果、軟弱地盤による地震波の増幅現象をシミュレートできることを確認した。2)液状化強度試験から求めた地盤パラメータを確認するため、有効応力法による地震応答解析法(LIQCA)の解析ツール(Soilworks for LIQCA)の準備も行った。遠心力模型実験装置で簡単な水平層モデルのシミュレーション実験を実施し、液状化現象が模型実験で再現できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ⅰ.一面せん断試験の精度向上と液状化強度試験の実施 定体積試験条件および超低応力条件でのせん断試験が実施できる装置となり、密度(中密度)の実験も精度が向上した。繰り返しせん断については実験が可能となったが、強度が振動三軸試験の結果と比べて大きくなった。これについては、さらに実験データを蓄積するとともに、これまでの常識をくつがえすような重要な話であるので慎重に検討する必要がある。 Ⅱ.地震応答解析および模型実験の実施準備と予備実験 1)熊本地震で地震波が観測された箇所について、基盤波を入力し解析により地表波を求め、実測地表波と比較することにより、解析で液状化現象や軟弱地盤の影響がほぼ再現されており、解析が精度よく実施できていることを確認した。軟弱地盤による地震波の長周期化や、高知県の地盤の特徴を取り入れてさらに解析精度を上げる必要がある。2)液状化強度試験から求めた地盤パラメータを確認するため、遠心力模型実験装置を調整し、予備実験を実施して有効応力法による地震応解析による結果と比較した結果、ほぼ再現できていることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
Ⅰ.一面せん断試験のデータ蓄積と液状化強度試験の実施 繰り返しせん断強度が、振動三軸試験の結果と比べて大きく出てくる点については、データ蓄積を行うとともに、装置の機構の検討、資料高さの影響、資料作成方法などの検討も行い、液状化強度が高精度で求まる装置とする予定である。その後、液状化終了後の地盤の残量強度について検討していく予定である。 Ⅱ.地震応答解析および模型実験の実施準備と予備実験 1)地震応答解析については、軟弱地盤による長周期化や高知県の地盤毎のせん断波速度の特徴を取り入れてさらに精度を上げていく予定である。また、解析ツール(SilWorks for LIQCA)を用いて、地震動と間隙水圧の経時変化の関係も詳細に検討する。 2)遠心力模型実験の装置を用いて、地盤の相対密度を変えて液状化実験を実施し、さらに液状化強度試験から求めた地盤パラメータについて詳しく検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動的一面せん断試験装置のメンテナンス費が、一面せん断試験機載荷コントロール装置交換とピンジョイントのみで、予想よりも少なくて済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
動的一面せん断試験装置のメンテナンス費に備えて、買い控えていた圧密用ロードセル、反力用ロードセル(2台)およびせん断試験用ロードセルなど、計測機の購入に充てる予定。
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