本研究は,流域面積に依存して降雨流出過程が変化する「スケール依存性」と,流域内の空間的多様性が下流では消失する「空間代表性」の発現過程を明らかにすることを目的として実施した.本研究は「空間代表性」の発現過程は明らかにしていないが,「スケール依存性」の発現過程を初めて明らかにするという,流域水文学における画期的成果を得ている.なお,「スケール依存性」の影響は集水面積が10,000km2以上の流域を境に発現することを確認したため,日本の流域の場合は「空間代表性」の問題を主に対象とすればよいことが分かる.これらの知見は,河川管理に役立てることができると考えられる.
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