研究課題/領域番号 |
16K06507
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
大橋 慶介 岐阜大学, 工学部, 助教 (20452170)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 扇状地の洪水調節 / 砂州観測による地下水流動 / 扇状地全体の河川水・地下水流動解析 |
研究実績の概要 |
交付申請時の研究実施計画は,(1) 出水イベントにおける扇状地の地下水面上昇量の観測,(2)自由地下水の動態指標としての水質観測,(3)画像解析による河川流量の観測,(4)扇状地の水収支の解析と洪水調節機能の評価,以上の4項目である. 平成29年度までの研究実績を順に述べる.まず項目(1)の地下水面上昇量は連続観測によりデータを蓄積し続けている.項目(2)の水質観測に基づく自由地下水の動態指標,すなわち透水係数は平成28年度時点では解明できていなかったため,平成29年度は水質観測から地下水位観測に動態指標を変更し,河川流量観測結果と併せて砂州全体の巨視的な透水係数を導く事ができた.この透水性は,多数の観測井によって広範囲を対象とした手動観測,比較的狭い領域であるが連続データを得られる自動観測の両方から一致する結果を得た.これらの観測から,着目した砂州周辺では河川流量に対して平常時に約10%,増水時に約5%の失水流量が生じていることが分かった.巨視的な透水係数は0.04m/sであり,現地材料試験結果の0.0018m/sより1オーダー大きい値が得られた.河川の縦断的な流量変化を捉えることを目的とした項目(3)では,観測精度の不足が予備試験から判明したため,平成30年度に計算精度の向上した河川シミュレーションから流量変化を捉える計画としている.項目(4)については,一昨年度に導入した河川シミュレーションソフトRiver2Dにより河川と地下水の流動を同時に評価することが可能となり既に計画達成済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外長期派遣により2年目のシミュレーション環境の構築を1年目に実施したり,水質によって推定する予定であった砂州の透水性を,地下水位分布と河川流量観測から推定する方法に変更したりと計画とは異なった手順で課題が進捗している.しかし,課題を達成するうえで必要な情報は取得できており,課題の目標に向けて順調に進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
項目(3)の「画像解析による河川流量の観測」が精度が足りないことが予備試験から判明している.そこで,平成29年度で明らかになった透水係数を用いたコンピューターによる河川シミュレーションによって,河川流量の縦断変化を捉えることとする.計算結果の精度検証は,ADCPによる流量観測で判断する予定としている.
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次年度使用額が生じた理由 |
水位・流量の縦断変化を知るための計測を未実施だったため\59,301の次年度使用額が生じた.この分は平成30年度の観測にて使用する計画である.
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