出水期間において扇状地の自由地下水帯の貯留量を算定し,洪水調節の規模を推算した.対象地域は岐阜市長良川扇状地である.砂州の地下水位観測から得た動水勾配,およびADCP観測から得た砂州周辺での失水流量を用いて広域の自由地下水帯を代表する透水係数約0.04m/sを得た.これは材料試験による局所的な透水係数0.0018 m/sより1桁大きい値である.この値を流況計算プログラムRiver2Dに与え,2013年1月から2014年12月までの2年間の扇状地の水の動きを解析したところ,2014年8月の出水では扇状地の水の貯留量は総流入量の約5%に相当する6,300万m3が洪水調節容量として求まった.
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