研究課題/領域番号 |
16K06511
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
前野 詩朗 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (20157150)
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研究分担者 |
吉田 圭介 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (50436721)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 河床変動 / 植生動態 / 側岸浸食 / 河道管理 |
研究実績の概要 |
現地調査に関しては,申請者らがこれまで継続してきた現地調査を更に進め,植生の繁茂状況,成長度合い,砂州上の地形調査をそれぞれ年4回調査した.また,調査対象地区で春と秋に河床材料を調査した.加えてドローンを用いて空撮して植生の拡大状況なども調査した.予定していた洪水前後の,河床変動,植生の倒伏・流失状況調査,低水路の河床形状調査に関しては大きな出水がなかったため,実施できなかった.洪水時に,河川管理者と協力してADCPを用いた流量観測を実施する予定であったが大きな出水がなかったため,平成28年9月20日の500m3/s程度の出水時に,ADCPと浮子による流量観測を実施した.水際付近の植生の流失の精度向上を図るために,側岸浸食部を再現可能となるように,側岸浸食部に自動的にサブメッシュを作成して側岸浸食部の移動を精度良く再現するモデルの提案のためにメッシュの自動分割プログラムを作成した. 流況解析による河床せん断力が大きく河床変動が活発になる力学的条件であっても,植生が倒伏して河床変動を抑制する現象が現地でみられている.これを再現するためには,植生が倒伏した状況における河床粗度を適切に見積もる必要がある.洪水期間中の河床粗度を観測水位からこれまでの方法よりも効率的に逆推定する方法として,逐次重点サンプリング法による洪水時の河道内食性による流水抵抗の逆推定を旭川下流部に適用し,若干精度は低下するものの,効率よく逆推定が出来ることを示した. 今年度の研究成果は土木学会論文集等で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた現地調査については,大きな洪水が発生しなかったため,洪水前後の計測は出来なかったが,年に4回予定していた定期的な観測は実施したため,概ね予定通りである.観測の結果,植生動態モデル及び河床動態モデルの構築のための有益なデータが得られた. 水際付近の植生の流失の精度向上を図るために,側岸浸食部を再現可能となるように,側岸浸食部に自動的にサブメッシュを作成して側岸浸食部の移動を精度良く再現するモデルの提案のためにメッシュの自動分割プログラムを単純な単純なモデルに適用してモデルの問題点等を明らかにしている. 洪水期間中の河床粗度を観測水位からこれまでの方法よりも効率的に逆推定する方法として,逐次重点サンプリング法による洪水時の河道内食性による流水抵抗の逆推定を旭川下流部に適用し,従来の方法よりも若干精度は低下するものの,効率よく逆推定が出来ることを示した. さらに,グリーンレーザーを用いて河道内の詳細地形を用いた河床動態,植生動態モデルの精度向上に関する基礎的研究を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
定期的な現地調査については継続して進め,大きな出水に備える.洪水後の観測については,大きな洪水発生する場合に洪水後安全を確保出来ることが確認出来た段階で実施する.大きな洪水が予測される場合には,国土交通省と協力して,旭川に20個ほどの自記水位計を設置して水位ハイドログラフの縦断分布を詳細に計測する.これらの現地観測データを分析して,植生の消長シミュレーションに必要な係数等の同定を行い植生動態予測モデルの更なる精度向上を図る.また,側岸浸食箇所の進行を現地観測することで得られるデータを河床動態モデルに組み込んでモデルの精度向上を図る.さらに,別のプロジェクトではあるが,グリーンレーザーを用いたALB測量によるデータを用いて植生動態,河床変動モデルの精度検証を実施する.
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