研究課題
本研究は,河道管理のための情報取得を目的に,観測水位に基づく実河道での流量,粗度係数,河床位の時空間変化の推定法を開発するものである.本研究では,解析条件として流量を必要とせず,観測水位のみを入力条件とした推定法IとIIを開発した.推定法Iは,水位ハイドログラフを上・下流端境界条件とし,連続の式,運動方程式から水位,流量を推定する方法,推定法IIは,水面形の経時変化から連続の式,運動方程式,流砂の連続の式から粗度係数,流量,河床位を直接推定する方法である.推定法Iについては,河道内の抵抗要素を堰や橋脚などの河道内構造物や底面粗度によるエネルギー損失で取り扱うようにし,抵抗要素のモデル係数や粗度係数の最適化を行うことを可能にした.分流・合流部周辺の実験結果や実河川の洪水データに基づく検証から,同推定法が,流量・水位ハイドログラフ,痕跡水位を十分な精度で再現できることを示した.推定法IIについては,一様砂河床を対象とした流砂の連続の式に基づく流量・粗度係数・河床位の推定法と低水路と高水敷での流速差によるせん断力や樹木による抵抗を考慮した準2次元推定法の二つの推定法を新たに開発した.小規模河床形態の実験結果との比較から,流量・粗度係数・河床位の同時推定法が,流量,平均的な河床形状,小規模河床形態の発生による粗度係数の変化,有効掃流力による流砂量を十分な精度で推定できることを示した.低水路沿いに樹木を繁茂させた複断面水路の実験結果との比較から,準2次元推定法が,複断面直線水路での流量ハイドログラフ,低水路と高水敷の流速差による干渉効果や樹木群の抵抗を含む水深の増減に伴う合成粗度係数の変化や低水路の粗度係数を,さらに,遠賀川水系の実洪水データへの適用から,準2次元推定法が,実河川の流量と洪水痕跡より求められた逆算粗度係数を最大15%程度の誤差で推定できることを示した.
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
平成30年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集
ページ: 107-108
ページ: 109-110
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土木学会論文集B1(水工学)
巻: Vol.74, No.5 ページ: I_1045-I_1050
河川技術論文集
巻: 第24巻 ページ: pp.445-450
巻: 第24巻 ページ: 445-450
https://www.civil.kyutech.ac.jp/pub/mirei/index.html