研究課題/領域番号 |
16K06523
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
三輪 浩 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70190832)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 河道の二極化 / 粗粒化 / 覆砂 / 移動限界 / 流路変動 |
研究実績の概要 |
ダム下流の河川では河床低下や河床砂礫の粗粒化による流路の固定化が進行し,河川の樹林化や河道の二極化につながるため,その対応が求められている.一方,礫層に砂が含まれると礫の摩擦角の減少によって移動し易くなる.本研究は,粗粒化した河床に覆砂を行うことで礫の移動を容易にし,固定化した流路を再変動化させる効果とその条件を明らかにして,覆砂の運用方法を検討することを目的としている.本年度は,砂の移動限界についてその推定式の適用性について検証するとともに,固定化した低水流路を有する礫床河道に対して高水敷に覆砂を行う一連の実験を実施し,礫の移動と流路の変動に及ぼす影響について検討した.本研究で得られた主要な結果を以下に要約する. 1.礫と砂の二峰性混合砂礫床における砂の移動限界に関するこれまでの検討結果を総合して,その推定式を提示した.そして,研究代表者らによる礫の移動限界推定式と併せて河床変動モデルを再構築し,礫と砂からなる置き土の侵食・流送実験の再現計算を行った.その結果,砂の混入による礫の移動性向上効果を適切に再現することができた. 2.高水敷への覆砂は,高水敷肩の河床低下と低水流路の河床上昇として現れる.とくに,貯留層の砂は礫の移動を促進する効果があり,高水敷肩の河床低下への効果は大きい.これによって低水流路は拡幅し,流路変動へとつながることを示した.ただし,高水敷肩から離れた領域の覆砂効果は限定的であり,覆砂面積の大きさが必ずしも流路の変動に効果的な影響を及ぼさないことも判明した.覆砂範囲の効果については覆砂厚さの効果と同様,さらに検討が必要である. 3.再覆砂による礫の移動と流路の変動については,今年度の検討でも効果は限定的であった.覆砂前後の河床骨格構造の変化と砂礫移動の関係を明らかにするとともに,覆砂実施後の河床を攪乱したうで再覆砂を行うなどの検討も必要であるとの考えに至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の異動で職場が変わり,実験・解析等の設備の再整備が必要になった。研究課題を進めながらの設備整備のため,今年度においてもこれに時間を要し,結果として進捗状況に影響が出た。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の検討で,覆砂面積が必ずしも流路の変動効果に直接的な影響を及ぼさないことが分かった。そこで,今年度は流路変動(主として拡幅)に影響する高水敷肩周辺の覆砂と河床変動に焦点を当てた検討を行う。また,覆砂層厚の影響についても引き続き検討する。さらに,再覆砂については,覆砂実施前後の河床骨格構造の変化に着目し,覆砂実施後の河床攪乱を導入した再覆砂について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度研究代表者が異動し,研究設備(実験設備,解析設備等)の整備が必要になった。研究計画は設備の整備と平行して進める必要があったため,全体として進捗状況に遅延が生じ,一部予算執行ができない状況になった。引き続き,研究の実施と予算の適正執行に努める。
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