研究課題/領域番号 |
16K06527
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
濱岡 秀勝 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (70262269)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 暫定二車線高速道路 / 片側交互通行規制 / 通行可能時刻表 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究計画に挙げていた、①現状の片側交互通行規制時における通行方向切り替え状況の評価、および②高速道路利用者を対象にした片側交互通行規制時の交通運用に関する意識調査を実施した。 ①現状の片側交互通行規制時における通行方向切り替え状況の評価 片側交互通行規制となる区間長や時期等を変化させたビデオ観測調査を実施した(平成28年6月から10月まで合計7回)。このビデオ観測データをもとに、(1)路側にて情報提供する最大待ち時間と実際の切り替えタイミングの関連分析、(2)全時間に占める上下方向合計の通行可能時間の評価、(3)到着車群特性ごとにみた待ち行列台数・待ち時間の評価、などを実施した。加えて、現地の交通誘導員へのヒアリングも実施し、通行方向をどのように切り替えているか、その考え方を把握できた。 ②高速道路利用者を対象にした片側交互通行規制時の交通運用に関する意識調査 本研究にて提案する通行可能時間表が、高速道路利用者にとって有益であるか意識調査により明らかにした。意識調査では、まず、(1)被験者が片側交互通行規制にどれだけ遭遇したかその頻度を把握した。その遭遇割合を実際の片側交互通行規制の実施割合と比較し、被験者が片側交互通行規制に対する印象を評価できた。次に、(2)提案する通行可能時間表について、その必要性の有無を質問した。先述した遭遇割合や停止時間、個人属性などと関連づけた結果、通行可能時間表が必要となる集合を明らかにできた。最後に、(3)仮想質問として、片側交互規制による停止時間が与えられたとき、どのような行動をとるか調査した。この結果から、片側交互規制による待ち時間が与えられた場合の利用者の行動特性を明らかにできた。すなわち、本研究で提案する時間表の提示において、どれくらいの時間間隔にて上下方向を切り替えるのが良いか明らかにできた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度計画として、当初に考えていた、①現状の片側交互通行規制時における通行方向切り替え状況の評価、および②高速道路利用者を対象にした片側交互通行規制時の交通運用に関する意識調査を実施できた。 また、これら分析から得られた結果についても、事前に検討した内容から大きく異なるものではない。 したがって、本研究の進捗状況としては、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度の成果により、片側交互通行規制時における車両の到着分布、および当該区間での停止時間が与えられた状況での利用者の行動特性を明らかにできた。ゆえに、これら成果を統合し、(1)時間表導入として提示する停止時間、(2)時間表導入の認知率、(3)停止時間の提示による利用者の行動特性、(4)利用者の行動特性を踏まえた車群到着分布の変化等に着目したシミュレーションを実施する。このシミュレーションは様々な要素が影響しあうことになるが、申請者は過去に同様なシミュレーションを実施した経験があり、当初の計画どおりに最適値を得られると考えている。この結果をもとに、規制区間長や当該区間での到着交通量分布等に対応した最適な時間表を導出する。 なお、時間表導入によって、本線上での停止が減少するという交通安全性の向上が期待できる反面、SA出口での本線車両との合流における危険性の増加も懸念されるため、これらのトレードオフも考慮する必要がある。この点について、申請者は当該地域での交通事故データを入手済であり、両者の事故率(交通量あたりの事故)をもとにした事故解析から評価可能と考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
意識調査において、ヒアリングについては想定した人員にて実施できたものの、意識調査によって得られたデータのコーディングについては、当初の予定よりも短い時間にて実施することができた。また、ビデオ解析においても、当初想定していた時間より、短い時間にて車両挙動の抽出・停止時間の把握など、データ抽出を実施することができた。これらによって、当初考えていた人件費が少ないこととなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、平成28年度の研究成果をもとに、成果発表するとともに、研究内容についての議論を深めたいと考えている。次年度使用額はその費用として使用したい。
|