既往の研究では,生活環境圏のCO2濃度変動パターンが地域毎に異なること,計測地点周辺の緑量に影響されることが明らかにされてきた.本研究では,この特徴を定量化し,計測方法の汎用化と規格化を進める他の研究計画を立案した.約3年分のCO2濃度データを用い,地域におけるCO2吸収量を月別最大濃度値で除する環境評価指標を提案・適用し,地理情報(土地利用,人口)との相関を分析した.結果,夏季においては植生との間に高い正の相関,冬季は人間活動との間に正の相関がある,つまり,季節によって指標の性質が変化するという結論を得た.ただし、全てが良い結果であったわけではなく、臨海部の日立、高萩、潮来の各地区では、他の地区のデータと濃度変動メカニズムが同じことに起因するであろう線形関係にはなかった.この点は水域の吸収効果に類することであり,今後の課題としたい.また,計測地点の代表性についてDOAS法を用いた研究を進めた.計測は定点観測地点である茨城大学を起点に南西3.7 km,北東2.4 kmの二方向を対象とした.検討の結果,DOAS法と定点観測値と定点加速地点における計測された濃度の差は±20 ppm程度の誤差となり両者は概ね同一地域を代表するCO2濃度を示していることが確認された.以上の検討から、観測地点の代表性に関しても、半径約4kmまでは代表地点としての保証があることが確認された.
|