研究課題であげていた、実験や検証はほぼ全て終了した。一方、3D建物地図を利用したRTKの予測シミュレーションについては、2019年度中に1本査読論文が採択され、現在2020年度時点において、新たに査読論文に投稿中である。
具体的には、市販の3D建物情報を利用して、東京都内都市部において、実際のRTKの性能 と、本提案手法による予測による性能を80%以上で一致するレベルまできた(採択された査読論文)。衛星の可視不可視判断や信号レベルのおおまかな一致度は90%程度となった。RTKの性能を、PC上で予測できれば、実際に走行実験をせずとも、ある程度RTKの利用性を判断できるため、非常に重要と考えている。RTKの予測の際は、実験で利用する受信身の観測データを用いて、実際にRTK測位演算を行った場合と比較した。市販受信機の内蔵RTKエンジンを利用すると、そのレベルの差によりRTKの性能が大きく変化するためである。
また、研究課題で述べていたとおり、3D建物を利用した電波伝搬の計算の際に、シミュレーションを行う真位置がないことが課題であった。実際には、真位置がない状態でシミュレーションを行う必要がある。そのため、あえて誤差を5mから10m程度与えた実験を行い、静止点ではあるが、そのレベルの誤差であれば、直接波の判定を高い確度で行うことを実証できた(現在、査読論文に投稿中)。なお、現状の低コスト市販受信機とスピードセンサや低コストIMU等を利用した測位結果では、都市部でも5-10m程度の精度を十分に出すことができるため、実用化に向けた重要な課題をチェックすることができたと考えている。
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