多くの途上国では,経済成長に伴う自動車・モータサイクル等の個人交通モード保有が進行している.途上国の大都市では軌道系を含む公共交通の整備が進みつつあるが,これらの整備が自動車の利用や依存意識の抑制には必ずしもつながらない場合も多い.また、過度な私的交通手段利用をもたらす要因として、自家用車に対する憧れのような意識とともに、貧弱な歩行環境が私的交通手段を助長している現状も途上国の状況を理解するために重要である。 本研究では,個人交通モード依存傾向の意識構造に焦点をあてた調査の結果をベースとして,途上国でのモビリティマネジメント推進のための政策パッケージを提案できる手法の開発を目的とする.2018年度は、インドネシアのジャカルタにおいて、都市鉄道とパラトランジットとの補完関係、および都市鉄道とアプリベースの交通モード(4輪のいわゆるライドシェアおよびバイクタクシー)との補完関係に関する観測調査を実施した。 3か年の研究から、途上国での実施を念頭に置いた私的交通と公共交通の利用意識を明らかにする調査手法の確立との実施、歩行環境(主にインフラおよび街路レイアウト、土地利用)と歩行に対する意識と公共交通/私的交通利用との関係の把握(聞き取り調査及び観測調査)をもとに、意識変革(狭義のモビリティマネジメント)・サービス水準向上・街づくりも含めたインフラ整備との関係をもとにした途上国を念頭に置いた政策・計画の組み合わせを提示するための知見を得た。
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