研究課題/領域番号 |
16K06558
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
立藤 綾子 (田中綾子) 福岡大学, 工学部, 教授 (10131830)
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研究分担者 |
平田 修 福岡大学, 公私立大学の部局等, 助教 (00461509)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | (1)焼却灰の土壌還元化 / (2)固化灰の破砕処理 / (3)不燃残渣との混合処理 / (4)炭酸化 / (5)中性化 / (6)塩類の洗出し |
研究実績の概要 |
平成28年度に確立した土壌細菌の生残率指標によって焼却灰の安定化評価を行った結果、焼却灰中の生物生育阻害要因であるアルカリ塩類の洗出し及び中性化を促進することが重要であることがわかった。そこで、平成29年度は固化した焼却灰をバックホウ等で破砕処理し,焼却灰が水やガスと接触し易くすることにより,塩類の洗い出しや堆肥から供給された二酸化炭素や炭酸イオンとの反応を促進させることが実用レベルで可能かを明らかにすることを目的として、実埋立場に2.5m×2.5mの試験埋立区画を作成後、①固化による焼却残渣の物理化学特性の変化,②固化した焼却残渣の破砕処理による物理化学特性の変化,③破砕不燃物と焼却残渣の混合処理による物理化学特性の変化について調査し検討した。また,焼却残渣の水和物形成を防止する方法としての焼却残渣と破砕不燃物の混合の有効性についても検討した。その結果、①埋立4週間後破砕処理した焼却灰は,破砕処理をしない場合に比べ,塩類の洗い出しが7倍促進されること、②破砕不燃物を混合処理した埋立4週間後の焼却灰は,処理をしない場合に比べ,塩類の洗い出しが3倍促進されるが,混合割合が9:1でも7:3でもさほど変わらないこと、③埋立前処理(固化して破砕処理,破砕不燃物との混合)は,焼却灰の透水性を上昇させるため塩類の洗い出しの促進手法として有効であるが,固化後の破砕処理の方が破砕不燃物混合処理より塩類の洗い出しが2倍促進されること、④しかし、これら処理によって塩類の洗出しは進行するが、生物生育の最大の制限要因であるpHの低下が小さいため、土壌細菌の生残率の上昇は緩慢で、塩類の洗出しに加えてpHの低下を促す前処理が必要であることなどが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の協力者である福岡市及び大成管理開発株式会社とは永年共同研究を実施しており、十分な協力体制を構築できていたため、実埋立場における試験区画の作成及び焼却灰の採取等がスムーズに実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
焼却灰の中性化には炭酸化が需要であり、その炭酸の供給方法として、筆者らが提案している生ごみ堆肥を山土に混合した堆肥覆土材や有機質土壌の適用効果を実埋立地レベルで検討する必要がある。
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備考 |
イタリアパドヴァ大学の大学院生(Ms,Miriam Luison)を研修生として受け入れ、本研究テーマについて、共同で研究を実施した。本学で実施した研究成果をベースに修士論文を作成し、最高判定を獲得した。
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