研究課題/領域番号 |
16K06573
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松島 信一 京都大学, 防災研究所, 教授 (30393565)
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研究分担者 |
吾妻 崇 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (00356370)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | やや短周期パルス / 内陸地殻内地震 / 地震危険度評価 / 地盤増幅 / 盆地構造 / 横手盆地 |
研究実績の概要 |
平成28年度に既往の活断層情報からM7クラスの内陸地殻内地震となる可能性のある活断層を洗い出し、その近傍に盆地構造がある地域について調査した結果、横手盆地東縁断層帯、生駒断層帯、長野盆地西縁断層帯などが調査対象の候補となった。これらの地域のうち、横手盆地および大阪平野東縁において微動観測を行い、盆地構造についての調査を行った。調査の結果、深い地盤構造が急激に変化する箇所があることが分かり、より詳細な地盤構造の調査を行う必要があることがわかった。 平成29年度には、前年度に検討した研究手法に適した調査対象地域を選定するために、縁辺部に活断層が分布する国内の平野・盆地のデータ収集を行なった。さらに、いくつかの平野・盆地については、沖積層基底の深さ、堆積盆基底の深さと岩種、および活断層の断層変位のセンス(移動方向)と地下における断層面の位置形状(傾斜方向と傾斜角度)に関する情報を収集・整理した。 一方、横手盆地においては前年度に引き続き詳細な地盤構造調査を行った結果、最深部で地震基盤の深さが3km程度で既往の研究とくらべ1km程度深い構造であることが分かった。また、盆地の中央部より東寄りの横手盆地東縁断層帯に近い地域で基盤深さが深くなることと、北と南に向かって徐々に基盤が浅くなることが分かった。このことから、1896年陸羽地震(M 7.2)において横手盆地東縁断層帯北部が活動したにも関わらず、現横手市において住家全壊率が10%以上となった地域が現れたのは、このような地盤構造が地震動を増幅させたことが原因であることが示唆され、横手盆地東縁断層帯南部で地震が発生した際には、1995年兵庫県南部地震のように地震動が干渉的に増幅される可能性が危惧される。 また、微動観測記録から地盤の不整形性を評価する手法について、福島県いわき市小名浜地区や京都府宇治市における観測記録を用いて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象とする活断層および地盤構造の調査により、対象とする地域の選定を行い、複数の地域において微動観測を行い、地盤構造の推定を行うことが出来た。一方、平成28年4月に発生した熊本地震の観測記録の分析や現地調査等を行い、被害地域における地震動の増幅特性に関する調査等を行ったことと、横手盆地における詳細な地盤構造調査を行ったため、神戸市域で予定していた臨時地震観測や微動観測を実施することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に絞り込み、平成29年度に活断層に関する情報収集を行い、地下構造調査を行った研究対象地域において、やや短周期パルスを発生させる震源モデルの構築方法について検討する。このとき、地表地震断層の有無による強震動の短周期成分の卓越についても考慮する。特に、熊本地震の観測記録のより詳細な分析を行い、最新の知見を取り入れた方法を構築する。一方、深い地盤構造と活断層近傍の盆地端部形状の調査のために、神戸市域において微動観測(単点・アレイ)を行うのと並行して研究対象地域において観測を行い、得られたデータから詳細な地盤構造モデルを構築する方法について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
神戸市域における観測が計画通りに推進できなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度の観測のための旅費等の一部として、使用予定である。
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