建築基準法は最低守られるべき必要条件であるにもかかわらず,法が要求するクライテリアだけに基づいた画一的な構造安全性のチェックが長年にわたって行われてきた。法が担保するのは震度V弱程度の中地震に対して建物が無損傷,震度VI強程度の大地震に対して建物がある程度の損傷に留まることである。しかし,最も大切な構造性能は,発生の可能性が低くともゼロではない超大地震に対して建物を倒壊させないことであろう。 本研究で得られた成果から,建築基準法に則って設計した建物が,完全倒壊に至るまでの余裕度を定量的に把握することができた。また,その評価制度をさらに向上させるための数値解析技術も提案することができた。
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