粒子破砕現象が発生すると粒状体に急激な体積減少が発生すると共にせん断強度が大きく低下していくため地盤の支持力が減少し、特に杭基礎先端支持力設計においては相当厳しい問題となる上、急激な沈下の原因となる。また、高層建築物を支持する杭基礎においては、地震時のロッキングにより杭頭には繰返し荷重が作用することとなり、杭周摩擦抵抗力の減少効果も加わって杭先端部には相当大きな繰返し力が発生している。このような問題を解明し、繰返し破砕実験から定量的な設計根拠を得ることが主目的であり、本研究における破砕実験結果から繰返し高圧力作用下の粒子破砕に関する基本的な性質が明らかになった。 等方圧縮の場合に対して、圧縮・せん断の場合では、せん断力が作用することにより、粒子破砕がより進行し、塑性仕事量はかなり大きくなる。ただし、繰返し載荷する毎に、その間の塑性仕事増分量は次第に小さくなっていき、土粒子の細粒化に伴い粒子破砕の進行も緩慢になっていくことも分った。つまり、同じ到達最大荷重下での繰返し載荷により粒子破砕は進行していくものの第1回目の作用荷重下での破砕が主要量であり、5回目の繰返し載荷で1回目の約1.5倍程度に増加し、10回程度繰返し載荷すれば粒子破砕の進行は1回目の約2.0倍程度となりほぼ停止する。 塑性体積ひずみと粒子破砕量Br共に非可逆物理量であり、これらはほぼ直線関係となっており、破砕実験結果から塑性仕事量と塑性体積ひずみを直接関連付けることができた。これまでの粒子破砕に関する実験的研究は全て1回載荷のみの場合であり、本研究における多サイクル載荷の場合の破砕実験と結果の導出は初めてであり、地震時荷重が問題となるような多サイクル載荷下での粒子破砕を考慮した粒状体の構成関係式を導く際の有効な指標となる。
|