研究課題/領域番号 |
16K06584
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
月永 洋一 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60124898)
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研究分担者 |
阿波 稔 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10295959)
迫井 裕樹 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30453294)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 建築構造・材料 / コンクリート / 表層部 / 脆弱層 / 部材断面厚 |
研究実績の概要 |
コンクリート側面の表層部には脆弱層が形成され,断面内部と比べるとその品質は劣る。また,脆弱層の品質は,部材の厚さや高さ方向によって異なる。本年度は、小型試験体および大型試験体を作製し、表層部脆弱層の性状について非破壊試験の適用により検討し、以下の結論を得た。
(1) 反発度は,断面厚増加により小型試験体では減少し脆弱層における品質の低下傾向を示し,大型試験体では増加し品質低下は示さなかった。これより反発度は,質量の影響を受けることから,断面厚を統一して試験を行う必要がある。(2) 音速は,断面厚増加により小型試験体および大型試験体ともに減少し,脆弱層における品質の低下傾向を示した。また,音速と断面厚は高い相関関係にあることが確認され,音速は,脆弱層の品質評価を対象物の大きさに影響されず適切に行えると考えられる。加えて,本実験で適用した音速表面法は,脆弱層の品質評価に適切である。(3) プルオフ強度は,断面厚増加により小型試験体および大型試験体ともに減少し,脆弱層における品質の低下傾向を示した。しかし,値にばらつきが見られ,ブリーディング水の上昇・滞留による不均質部の形成や,コアスリットによる破断状況の悪さ,エポキシ樹脂の接着不良などの影響が原因として考えられる。(4) トレント透気係数は,断面厚増加により小型試験体および大型試験体ともに増加し,脆弱層における品質の低下傾向を示した。しかし,値にばらつきが見られ,その原因としてブリーディング水の上昇・滞留による不均質部の形成や表面状態などの影響が考えられる。また,トレント法は,表層の状態を敏感にとらえる試験であるため値のばらつきがあったと考えられる。
上記結果より、コンクリート表層部の脆弱層は部材の断面厚および高さ方向によって品質が異なることを示し、また、各種非破壊試験の脆弱層評価のための適用性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画に従い、おおむね予定通りの研究を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果をもとに今後の実験計画を確認して実験を遂行する。また、研究の最終年度にあたるため、研究の総括と成果の発表を行い、コンクリート表層部の重要性を提言する。
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