研究課題/領域番号 |
16K06589
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
齋藤 俊克 日本大学, 工学部, 講師 (70547819)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポーラスコンクリート / 静弾性係数 / Hashin-Hansen式 / 空隙補正係数 |
研究実績の概要 |
本研究では,性能設計を可能とする複合則を適用したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法の構築を目的に,①ポーラスコンクリートの静弾性係数推定における複合則理論の適応性の検討,②ポーラスコンクリートの静弾性係数に及ぼす各種調合要因(結合材及び骨材)の影響の検討,③複合則を適応したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法の構築を行う。3年の研究期間の1年目である平成28年度は,次に示す研究を予定していた。 (1)結合材としてのセメントモルタルの圧縮性状の解明,(2)結合材をセメントモルタルとしたポーラスコンクリートの圧縮性状の解明,(3)ポーラスコンクリートの静弾性係数推定における複合則理論の適応性の検討 (1)及び(2)については,水セメント比を22.5,25.0,30.0%としたセメントモルタル及び,それを結合材として粗骨材を硬質砂岩砕石,目標空隙率を10,15,20,25,30%としたポーラスコンクリートの圧縮性状を明らかにした。(3)については,Hashin-Hansen式から算出されるポーラスコンクリートの推定静弾性係数と(1)及び(2)の結果から得られた実測静弾性係数の関係から複合則理論が適応可能かを検討した結果,ポーラスコンクリートの空隙量の差を補正する空隙補正係数を提案し,それをHashin-Hansen式に乗ずることで,ポーラスコンクリートの静弾性係数を推定することが可能であるとの結論に至った。但し,ポーラスコンクリートには特有のせき板効果があるため,複合則理論の適用にあたっては,今後考慮すべき要因の一つと考え,その基礎研究として,ポーラスコンクリートの空隙率及び圧縮強度に及ぼすせき板効果についての検討も行っている。その結果,同一寸法の供試体において,ポーラスコンクリートの成形供試体に比べて,コア供試体の圧縮強度は小さい傾向にある知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度における研究については,研究実績の概要に示した(1),(2)及び(3)のいずれの項目についても,おおむね計画通りに研究が進行している。昨年度までの科研費若手研究B(研究課題名:ハイブリッド型繊維補強によるポーラスコンクリートの耐久性の改善,課題番号:25820272)において,本研究の萌芽的成果を投稿した論文「複合則を適用したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法の提案」が日本建築学会構造系論文集(Vol.81,No.723,May 2016)に掲載され,現在は今年度の研究成果を関連学協会に論文として投稿する準備を進めている。一方,本研究の一環として行ったせき板効果については,審査論文1編及び口頭発表1編の研究業績を得ている。これらのことから,研究は順調に進展している。なお,静弾性係数の明らかな硬質砂岩砕石及び石灰岩砕石の入手が可能となったことから,Hashin-Hansen式を適応したポーラスコンクリートの静弾性係数推定式に,今後粗骨材の静弾性係数を推定値ではなく実測値を入力すること出来るようになり,精度良く関係性の検討を進めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,基本的には申請書の計画通りに,各年度の試験を遂行していく予定である。平成29年度においては,結合材をセメントペーストとすることで,マトリックス相の材料組成を変化させたポーラスコンクリートの圧縮性状を解明し,ポーラスコンクリートの静弾性係数に及ぼす各種調合要因の影響を検討する。又,平成28年度において得られた結合材をセメントモルタルとしたポーラスコンクリートの静弾性係数との比較を行い,マトリックス相の異なるモデルにおけるHashin-Hansen式を適用した静弾性係数推定式の適応性を検証する。
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