本研究では,性能設計を可能とする複合則を適用したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法の構築を目的に,①静弾性係数推定への複合則理論の適応性,及び②静弾性係数に及ぼす各種調合要因(結合材及び骨材)の影響について検討し,③複合則を適用したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法を見出す。3年の研究期間の最終年度である平成30年度は,次に示す研究を予定していた。 (1)粗骨材を石灰岩砕石としたポーラスコンクリートの圧縮性状,(2)複合則を適用したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法の構築 しかし,平成29年度に,静弾性係数の明らかな硬質砂岩砕石及び石灰岩砕石の入手が可能となったことから,平成30年度に予定していた研究を前倒して,それらを粗骨材として,水セメント比を22.5,25.0,30.0%としたセメントモルタルを結合材とし,目標空隙率を10,15,20,25,30%としたポーラスコンクリートの圧縮性状を明らかにした。そのため,平成29年度に未実施のセメントペーストを結合材としたポーラスコンクリートの圧縮性状の解明を平成30年度に実施する予定であった。しかしながら,セメントモルタル及びペーストは材料組成が異なるのみであることから,セメントモルタルを結合材とし,その静弾性係数を変化させて,ポーラスコンクリートの静弾性係数に及ぼす結合材(マトリックス相)の影響を詳細に検討し,複合則を適用したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法を構築した。 又,本研究の基礎研究として,日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」に示される普通コンクリートの静弾性係数推定式のポーラスコンクリートへの適用性並びに,静弾性係数にも影響を及ぼすと考えられるポーラスコンクリートのせき板効果の圧縮強度への影響について検討し,それらの研究成果を発表した。
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