1、硬化したコンクリートを組み合わせて内部に空洞を設けた試験体で、測定面に合板を設置した状態で、空洞の大きさおよび深さを変化させた場合の周波数特性の変化およびピーク周波数における高周波静電容量の測定を行った。静電容量が最大となるピーク周波数は、合板の密度に関わらず空洞の深さ0から20mmにかけて低下し、20mm~60mmでは90~95MHzで変化は見られなかった。静電容量は空洞の深さによって変化が大きく、一様な傾向はみられなかった。 2、合板型枠の内部にモルタルを充填したまだ固まらない状態において、発泡スチロールで大きさや位置が異なる空洞を設けた場合の周波数特性およびピーク周波数における高周波静電容量の測定を行った。ピーク周波数は、電極間距離15mmを除くと硬化したモルタルの場合とほぼ同様の傾向であった。静電容量は空洞の深さによって変化が大きくなった。周波数が100MHzのような高い領域では、静電容量を安定的に測定することは難しいと思われる。 市販の高周波静電容量測定器の接触端子の間隔を15mm~65mmとした装置を用い、大きさや位置が異なる空洞を設けた場合の測定を行った。モルタルを充填した場合の測定値は、電極間距離が大きいと高くなる傾向がみられた。型枠全面が空洞の場合、いずれの電極間距離でも空洞の深さが大きいと測定値は高くなる傾向がみられた。測定値の傾向から測定装置が空洞を感知する範囲は深さ40mm程度までと考えられる。空洞の幅が90mmの場合、空洞の深さと測定値の関係は型枠全面の場合とほぼ同じであった。空洞の幅が30mmの場合では、空洞の深さが0から10mmで測定値が低下したが、空洞が幅90mmや全面の場合とは異なる傾向となった。空洞の幅がある程度以上であれば、測定値の変化から空洞の深さの影響を判別できる可能性があると考えられる。
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