本研究では,枠組組積造(Confined Masonry)建物における主筋の定着破壊の問題を取り上げ,その特性を明らかにするとともに,改善策の提案を行うことを目的としている。 本年度は,3種類の改良型主筋定着法を用いた枠組組積造壁体(HA-2,HA-3,HA-4)の耐震性能を実験的に調べ,既往の定着法(SA,HA)による耐震性能と比較検討を行った。得られた結果を以下にまとめて示す。 1)既往の定着法の試験体(SA:直線定着の試験体)に比べて,改良型の2体(HA-2:定着専用筋を追加した試験体,HA-3:拘束柱と臥梁との接合部にハンチを設けた試験体)は高い耐震性能を示した。特に,試験体HA-3では拘束柱と臥梁との接合部にひび割れの発生もなく,高い損傷抵抗性を有することが確認された。なお,既往の定着法(HA)と比較しても性能が向上するかどうかは,フック定着でせん断破壊する壁体の実験データを得た上で改めて検証する必要がある。 2)改良型定着法の試験体(HA-4:4本の柱主筋を太径の1本に置換し,これを臥梁へ折り曲げ定着した試験体)はすべり破壊に至ったため,定着法による壁体の耐震性能の違いは確認されなかった。
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